茶人に好まれた漆芸の技。「逸翁美術館」で開催する特別展「漆芸礼讃―漆工・三砂良哉―」

阪急宝塚線の池田駅から徒歩10分の「逸翁(いつおう)美術館」では、大阪を代表する漆芸家の一人として活躍した三砂良哉(みさごりょうさい)を、初めて大々的に取り上げる特別展を開催する。

開催期間は、9月21日(土)から11月24日(日)まで。

このほかに、講演会や鑑賞講座、館内にある茶室での呈茶を実施するので、事前に申し込んでおきたい。

明治から昭和にかけて活躍した漆芸家・三砂良哉

三砂良哉(1887~1975年)は、西宮で代々酒造業を生業とした家に生まれ、日本画を学んだ後に漆芸の道に入り、明治から昭和にかけて大阪を拠点に活躍した。

1909年ごろには、阪急東宝グループの創業者である小林一三(いちぞう)の知遇を得ていたことがわかっており、たびたび小林一三の自宅がある池田を訪れて、その好み物を多く手がけた。

遺された作品は絵画的で精妙優美な作風で知られ、技術力の高さだけでなく創作性・デザイン力に満ちあふれており、小林だけでなく、武者小路千家・第12代家元の愈好斎(ゆこうさい)や、清海泰堂(きよみたいどう)など、武者小路千家の茶人に好まれたのもうなずける。

その漆芸の粋を集めた作品を、今回の特別展で堪能しよう。

講演会や鑑賞講座で、その魅力をより深く知る

同展の関連企画として、武者小路千家の家元後嗣である隨縁斎 千宗屋(ずいえんさい せんそうおく)氏による講演会や、学芸員による鑑賞講座を開催する。

いずれも事前申し込みが必要なので、公式サイトから申し込んでおきたい。

講演会の「好み物を楽しむ―茶人と職人の共同作業」は、10月14日(月・祝)の14:00~15:30に開催。

担当学芸員が作品の魅力、見どころなどを解説する鑑賞講座は、9月23日(月・祝)、11月16日(土)の開催で、いずれも時間は10:30~12:00となっている。

美術館内の茶室「即心庵」で楽しめる呈茶

同館内にある椅子式の茶室「即心庵(そくしんあん)」では、呈茶を実施する。

この茶室は、小林一三が自ら考案した椅子席で楽しめる茶室「即庵(そくあん)」を、同美術館の館内に「即心庵」として再現したもので、定期的に呈茶を実施している。

テーマにあわせたオリジナルの菓子と一服の茶で、ゆっくりとした時間を過ごしたい。

特別展「漆芸礼讃―漆工・三砂良哉―」での呈茶は、会期中の日曜日に開催。10:50〜14:30の間に6回開催し、各席7名まで。いずれの回も一服500円となる。

参加するための呈茶券は、各日10:00より美術館受付で、各席先着順で販売する。

天才的技術を持ちながら、歴史に埋もれた三砂良哉の伝統的かつモダンな茶道具類を鑑賞してみては。

漆芸礼讃―漆工・三砂良哉―
会期:9月21日(土)~11月24日(日)
会場:逸翁美術館
所在地:大阪府池田市栄本町12-27
休館日:毎週月曜日
観覧料:一般 1,000円
開館時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)
公式サイト:https://www.hankyu-bunka.or.jp/itsuo-museum/exhibition/2024/06/22/post_9/007708/

PR TIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002231.000005179.html

(田原昌)

※9月23日・10月14日・11月4日は開館、9月24日・10月15日・11月5日は休館
※講演会は定員100名で申込多数の場合は抽選、鑑賞講座は定員80名で先着順
※呈茶券の販売は、ひとり2枚まで。電話等での予約は不可
※表示価格は全て税込