「T3 PHOTO FESTIVAL TOKYO」は、今年の企画第一弾として「New Japanese Photography:50 years on」をテーマにした企画展を10月5日(土)から27日(日)まで開催する。同展は3組のキュレーターによる企画展で、計15名の作家たちの作品を楽しめる。
展示によっては無料のものもあるので、近くに立ち寄った際には見に行ってみよう。
NEW JAPANESE PHOTOGRAPHY 1974→2024
調文明氏とアシスタントキュレーターの遠藤みゆき氏による「NEW JAPANESE PHOTOGRAPHY 1974→2024」は、50年の間に起きた日本写真の変容を3セクションに分けて紹介する展示だ。
1つ目のセクションは「くにをあるく」。「くに」という言葉が指し示すものは国家や故郷、さらにイデオロギーまで幅広い。その境界線もまた不変とは言えず歴史性に関わることから、「日本なるもの」を見つめなおすという内容だ。
2つ目のセクションは「象ることの意味」だ。写真の本道とは“物体からの反射光をカメラで受け止める”ことだが、同展ではスキャンやバグなど光学に依らない表現を使った写真を展示する。
3つ目のセクションは「分からなさを分ける」。自と他、私と公、そして個人と国家の関係は、他者に対する絶対的な「分からなさ」を法や規範で不問にすることで成立する。しかしそれ自体が消えたわけではない。その「分からなさ」を当事者の視点を介して共有するのが同展だ。
その「男らしさ」はどこからきたの?
小林美香氏による「その『男らしさ』はどこからきたの?」は、日本社会全体に根付く男性中心主義的価値観・ホモソーシャル性に焦点を合わせた展示となる。写真や映像作品、広告や広報などに表れる男性のイメージを通して「男らしさ」とは何かを問う。
個人所蔵のスクラップブックやポストカード、雑誌や書籍などの資料展示もあるとのこと。
Alternative Visions:A Female Perspective / The Wall vs the Page
フランスのキュレーター、マーク・フューステル氏による「Alternative Visions:A Female Perspective / The Wall vs the Page」では、1974年の「New Japanese Photography」で見過ごされた2つの視点に着目し、当時の代替ビジョンを提示する。
視点の一方は「女性の視点」。当時、同展で選ばれた15人の写真家の中に、女性写真家は一人もいなかった。その時に活動していた女性作家の作品群から、当時ありえた別の展示の姿を示す。
もう一方は「『写真集』の存在」である。カメラマン・山岸章二氏は「日本の写真は主に書籍のために作られていた」としつつも、1974年の展示は写真集は1冊のみ、残りはプリントによって構成されたものだった。同展では現代における写真集の重要性と多様性を示しつつ、写真を見る体験が「ページと壁」とでどう異なるかを提示する。
盛りだくさんの内容なので、何度かエリアに足を運んでも良さそうだ。
T3 PHOTO FESTIVAL TOKYO
会期:10月5日(土)〜27日(日)
会場:東京・八重洲、日本橋、京橋エリアの屋内、屋外会場
入場料:有料の展示は一般/前売¥1,500、当日¥2,000、一部無料
公式サイト:https://t3photo.tokyo/
PR TIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000085103.html
(Mayu)