佐渡裕氏のタクトが涙を誘う、永遠の感動作。プロデュースオペラ2024「蝶々夫人」美しい舞台で7月上演

世界水準のオペラ上演で毎年話題を呼ぶ、兵庫県立芸術文化センターの芸術監督プロデュースオペラ。

その原点であり、2006年夏に初演された「蝶々夫人」が、今年7月に改訂新制作上演を果たす。世界的指揮者・佐渡裕氏の指揮によるプッチーニの音楽。故栗山昌良氏の原演出による美しい舞台。そして歌手たちの表現力豊かな歌声が、客席を感動で包む。

芸術監督をはじめ出演者が舞台への意気込みを語る

今年7月に上演を行う「蝶々夫人」。2月18日(日)からのチケット発売を前に、行われた記者会見では、佐渡裕芸術監督、再演演出の飯塚励生氏、蝶々さん役の迫田美帆氏・高野百合絵氏が登壇し意気込みを語った。

「蝶々夫人と栗山昌良氏への思い。」芸術監督/指揮・佐渡裕氏

故栗山昌良先生追悼の意味も帯びた上演となる。海外で「蝶々夫人」を観て、なおさら栗山演出がいかに素晴らしいかを感じた。音楽的にもドラマとしても、この名作を知り尽くした演出だからだ。

決して派手な音楽が鳴り響くわけではないのだが、先生の演出によってそれぞれの登場人物像が浮かび上がり、本当にハッとするシーンばかり。まさに、美しさの連続だ。

冒頭からオーケストラがドラマティックな蝶々さんの人生を表していて、最後に蝶々さんが自刃する場面は非常に激しい音で終わるのだが、いわゆる音楽が終わる音では終わらない。不安定で、「?」がつくような音で終わる。そして実はそのハーモニーから、冒頭の音楽にまた戻れる。

この話は、これからも輪廻していく物語であるという意味が込められている。また、例えば一幕の愛のデュエットは、スローモーションの音楽のなか二人が寄り添っていくよう。このような場面では、蝶々さんにとって、美しい大事な写真アルバムを見ているように音楽が進んでいくと私は思っている。

「圧倒的に美しい栗山氏の舞台を大切に。」再演演出・飯塚励生氏

兵庫での2回と、その前の新国立劇場での「蝶々夫人」の上演で、栗山先生の助手を務めた。それぞれに演出は違うが、先生は音楽を信じて、音楽を感じながらキャラクターを作られていた。そして、身体の形から、スタイルから、表現・表情を作るのだと毎回言われていた。

逆に日常的な演技に対しては批判的だった。映像作品のように内面から感情を表そうとすると、心が中に入ってしまい大きく見せられない、舞台の空間を埋めることはできないと、歌手たちにおっしゃっていた。

私も、世界中で色々な「蝶々夫人」を観たが、最初に栗山先生による東京二期会の公演を観たとき、「圧倒的に美しい!」と感じた。まずは栗山先生のキャラクター作り、非常に美しい人の運び方、形はキープして、観てもらいたいと思っている。

「心に残る蝶々夫人を。」蝶々さん役・迫田美帆氏

蝶々さん役では、二度舞台に立っている。この役は、ピアノやピアニッシモといった繊細な表現が多く、蝶々さんが一人の少女であることを表現するための要素になるのではと考えている。

色々な経験をしている少女なので、もちろん精神年齢はそれより高いと思われるが、一人の少女がこの悲劇に見舞われる、というところを観てもらいたい。繊細な表現を丁寧に積み重ね、観客の心に残る、共感してもらえるような蝶々夫人として、舞台に立ちたいと思う。

「挑戦を積み重ね、世界の舞台を目指す。」蝶々さん役・高野百合絵氏

今回、大きな挑戦として蝶々夫人を務めさせてもらうことになった。最初は不安だったが、少しずつ、蝶々さん役を何10年も歌い続けていきたい、この役で世界の舞台も踏みたいという強い意志に変化してきている。

一幕は可憐で純粋無垢な蝶々さん、二幕では母親となり、三幕では凄みさえ感じさせる芯の強さを見せ、ドラマティックな表現が求められるが、最後まで10代の女性だったということを意識したいと思う。

故栗山昌良氏の原演出による美しい舞台を、佐渡裕氏の指揮で改訂新制作上演を果たす「蝶々夫人」は、オペラファンなら必見だろう。

佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ2024「蝶々夫人」
公演日程:7月12日(金)~7月21日(日) ※全8回・7月16日(火)・7月19日(金)は休演、各日14時から
会場:兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール
所在地:兵庫県西宮市高松町2-22
チケット発売日:2月18日(日)から
入場料:A席13,000円・B席10,000円・C席8,000円・D席6,000円・E席3,000円(税込)
特設公式サイト:https://www.gcenter-hyogo.jp/butterfly/

PR TIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000009.000096667.html

(高野晃彰)