日本の桜からインスピレーションを受けたデンマークの若い企業家の成功談

今の時代だからこそ成功するビジネスモデルを見つけた北欧のスタートアップ企業の興味深いエピソードを紹介しよう。

■日本での成功の秘訣とは

2013年、デンマークで当時27歳のJanus Aarup氏が創設した時計ブランド「VEJRHØJ(ヴェアホイ)」。

「VEJRHØJ」の時計の特徴は、木とスチールそしてスカンジナビアのミニマリズムが融合されたデザインであることだ。

昨年発表した日本の桜をモチーフにし、素材として使用したコレクションは人々の心を惹きつけるデザインとして、日本のみならず世界中で評価を得ている。コレクションのためのクラウドファンディングを行った「Makuake」では、わずか1か月で4,200万円相当の売り上げを成し遂げた。

大成功を納めた腕時計の素材に桜の木を使用するという成功のアイデアは、Janus氏が2017年に日本へ旅行したことが大きなインスピレーションとなったと明言している。

北欧のスタートアップが見つけた日本での成功の秘訣を紐解いていこう。

■日本とスカンジナビアの共通項

「2017年にパートナーのHeidiと一緒に日本を訪れたとき、デンマークでは見ることのできない、美しい満開の桜に2人とも今までにない感銘を受けました。その経験がコレクションへのアイディアと繋がり、帰国後構想を練り作り上げました」

とJanusは旅行を振り返って語る。

「以前、日本でクラウドファンディングキャンペーンを代理店を通して行った際に、コストのかかる代理店とのコラボレーションよりも、ブランド・会社としての機敏な対応が求められていることに気付きました。現地で日本人社員を採用することで、自分自身を含め、日本市場への知識を深め柔軟に対応することが成功の鍵です」

「VEJRHØJ」は、高価な仲介業者を避けることで大きくコストを抑え、高品質の製品を手頃な価格で購入できるようになることにブランドとして価値をおいた。そして、現地の日本人社員を雇用することにより、日本市場の声を直接汲み取ることができる体制を整えた。

職人技、素材、すっきりとしたラインに焦点を当てた「VEJRHØJ」の背後にある哲学は、誰もが手に入れることができる、何世代にもわたって続いて行くような独特でありながらも、唯一無二の木製時計を作ることだ。

製品を日本で売り出す中で、Janus氏は日本人とスカンジナビアの人たちの共通項を見つけたと語る。

「日本人とスカンジナビアの人々は、ミニマリズム、職人技、そして天然素材に対する同じ情熱を感じます。これが私たちの時計が日本でとても人気がある理由の大きな1つだと思います」

過度な装飾やデザインに頼ることなく、素材そのものの良さを存分に生かした製品は、様々な場面で時計の持ち主の美しさを引き立ててくれること間違いないだろう。

日本で成功するビジネスモデルを確立した「VEJRHØJ」の今後の展開に注目だ。

公式サイト:https://vejrhoj.jp

(冨田格)