「働き方改革」が推奨される昨今。定年まで一つの会社で働き続ける、という昭和の労働スタイルは過去のものとなり、キャリアアップのための転職や起業は当たり前という感覚が広がり続けている。そして、次にフォーカスされているテーマがダブルワーク「副業」だ。
全国の会社員(20~59歳)を対象に副業の潜在ニーズに関する意識調査を実施したところ、20代の会社員の7割が副業を始めたいと考えている、という結果が出た。
この調査は、総合人材サービス・パーソルグループのパーソルプロセス&テクノロジー株式会社のコーポレートベンチャーであるワークスイッチコンサルティングによって実施された。
■背景
労働人口減少が進む中、企業は積極的に働き方改革に取り組んでいるが、未だ黎明期なのが「副業」。2018年に副業解禁元年と言われて2年を経たが、依然として禁止している企業も多い一方で、解禁に向けて情報を集めている企業が増えている。
■概要
本調査の目的は、全国の会社員の副業に関する意識・実態を確認し、副業を解禁していく際の方向性を示唆するために会社員の「隠れたポジティブな副業ニーズ」を明らかにすること。調査手段はインターネットによる定量調査で、男女・20歳~59歳の、全国の会社員(従業員数が300人以上の企業勤務、部長、課長・係長・主任・一般社員クラス)、副業の実施有無で割付した800名を対象に行った。
<主な設問>
・あなたは現在「副業」をしていますか
・あなたがお勤めの会社で「副業」は認められていますか
・あなたは、「副業」をしたいと思いますか
・「副業」をしたい理由で、あてはまるものをすべてお知らせください
・「副業」を実施するにあたり、どのような支援があれば課題が解決できると思いますか
・「副業」は自身のキャリア開発につながると思いますか※ウエイトバック集計により小数点以下が発生している。小数点以下の切り上げ、切り下げにより回答人数と各回答数の合計が異なる箇所がある。
■調査結果(抜粋)
副業している人はまだ約1割。男性では30代、女性では40代の実施が多い
副業をしている人10.9%に対し、副業をしていない人は89.1%であることがわかる。すでに副業を始めている層を年齢帯で見ると、男性で30代、女性で40代が多いことがわかった。
約半数が副業は禁止されていると回答、勤務先の制度がわからないという人も約2割存在
全回答者のうち、副業が認められている会社員が30.8%。禁止されている会社員は49.8。勤務先の制度周知が十分ではないのか、副業が認められているかどうかわからない人も2割近くいることがわかった。
副業を始めたい人は過半数超え、特に男女とも20代が意欲的
副業をしていない人のうち、副業をしたいと思う人は「すぐにでもしたい」、「いずれしたい」を合わせると64.3%と過半数を超える結果となった。特に「すぐにでもしたい」20代は70%を超えている。(男性20代 38.0% 女性20代 30.0%)
副業をしたい理由は「収入」に次いで「キャリア開発への期待」が多い
副業未実施者の「副業をしたい理由」は「本業以外の収入を得たい」が圧倒的に多い結果となった。次いで「自分のキャリアを広げたい」「スキルを活かしたい」「人脈を広げたい」といった、自身のキャリア開発への意識の高さが読み取れる。
会社が副業を認めてくれることへの期待は高い、次いで税金等の知識に不安
副業を実施する際にどのような支援内容があれば課題解決できるかについては「会社が副業を認めてくれる」が最も高く、次いで「税金等のお金に関する情報提供」と続いた(複数回答可)。
すでに副業している人の約7割がキャリア開発を実感!
「副業は自身のキャリア開発につながると思いますか」の問いに対して、副業をしている人の70.5%が、「とてもそう思う」、「ややそう思う」と回答した。副業がキャリア開発に繋がると実感している割合が高いことが分かった。
この調査結果を受けて、パーソルプロセス&テクノロジー株式会社 ワークスイッチコンサルティングのシニアコンサルタント 成瀬岳人氏は下記のコメントを発表している。
本調査で見えてきたのは、「若手ほど将来に不安を感じ、副業という手段に可能性を感じている」ということです。2020 年代は、本格的に労働人口が減少していきますが、企業は人材を「囲い込む」のではなく、敢えて社外に越境させて、自律的なキャリア開発を支援していくことが必要になるでしょう。その結果、社員はその機会を提供する企業に感謝し、本業での活躍のために自ら成長していきます。
副業を「禁止」するか、「管理」するか、むしろ促進し「支援」するか?この選択が、企業の持続的な変革と、日本の未来を担う次世代の可能性を拡げていくことに繋がっていくでしょう。
では、次の世代が未来に期待をもってチャレンジできる社会への「転換」を願って、本調査結果から新たな事業を創り出していきます。
副業に対する期待や、不安など、会社員が抱いているリアルな感覚が数値化された興味深い調査結果となった。固定観念にとらわれることなく、自分の将来像を具体的にイメージしながらダブルワークの可能性を模索していくことが、私たちが取り組める「働き方改革」ではないだろうか。
■調査概要
調査日: 2019年12月10日(火)~12月12日(木)/対象:男女・20~59歳・現在の職業が会社員(勤務先の従業員数が300人以上)で、役職が部長、課長・係長・主任・一般社員クラスの800名(副業実施者400名、副業未実施者400名)/調査手段:インターネット定量調査
(冨田格)