国内で大晦日から宿泊するとしたら、ラグジュアリーで快適に過ごせるホテルも魅力的だが、古くからある純和風の日本旅館も捨てがたい。
高台寺や八坂神社、建仁寺、清水寺にも近い老舗旅館に大晦日に宿泊した。
「玉半」の客室は全部で10室。それぞれ趣が異なる和室に木の内風呂が付いている。宿泊した部屋は玄関からすぐの階段を上がった2階「葉月」の間。部屋に案内されるとお茶とお菓子、お薄の接待がある。
床の間にはお正月を迎えるお祝いの飾りつけが施され、日本旅館ならではの雰囲気に浸る。
古風な旅館だが、水回りはリフォームされ快適に過ごせる。
夕食は部屋で和会席をいただく。
先付(塩蒸し雲丹 湯葉豆腐 三つ葉 山葵 喰い出汁)とおてもと、グラス、漆塗りの小スプーンがセットされたお盆に、八寸(しめじ胡麻和え 煎り胡麻 白狐寿司 栗金団 蛤霰揚げ 砧巻 千社唐)が載せられる。
造りは平目、紋甲烏賊、鮪の3種に大根、大葉などのあしらい。焼き物は鯖味噌祐庵メレンゲ焼き、蟹真薯蝋焼にはじかみを添えて。3段重ねの徳利型の器は炊き合せで、下の段に鯛・豆腐・舞茸・蓮草・柚子の蒸し物、中の段に浅葱と紅葉卸の薬味、上段につゆが入っている。
止(海老芋利休焼、パン粉)と止椀(年越し蕎麦 海老 浅葱)、ごはん、香の物。出汁の効いたそれぞれの京料理に感激しながら夕餉を終える。
膳が片され布団を敷いてもらうと、デザートにアイスクリームをいただいた。
一息ついた後に八坂神社や祇園の街を散策に出かけ、宿に戻ると「おかえりなさい」と迎えてくれる。
自宅で過ごすようにのんびりテレビなどを見ていると、やがて除夜の鐘が響いてくる。旅館で除夜の鐘を聴きながら過ごす年の瀬は日本情緒がことさらに身に染みる。
元旦の食事はお屠蘇から始まる。
おせち料理が並び、雑煮は丸餅が入った京都ならではの白味噌の雑煮。
古くからの物を大事にしつつ、リフォームをして快適に過ごせる日本の宿。また泊まりに行きたいと思う。
住所:京都市東山区祇園下河原町477
(小椚萌香)