二歩足歩行で走るロボットや人の声に反応してきちんと考えて受け答えを行うロボットを見るたびに、鉄腕アトムの世界が現実のものとなりつつあるのを感じる。
今回発表されたアバターロボット「MELTANT-α」は、世界で初めて力強さと繊細な動きを両立した「人間の手に最も近い」手を持つロボットである。つまり、従来のロボットハンドには困難とされてきた複雑で柔軟な作業を可能にし、まさに“身体による限界”を打破する一歩となる偉業を行ったと言えよう。
開発に取り組んできたMELTINは、人類の創造性を開放するためのサイボーグ技術の開発を目指し、その第一歩として、身体の動作を忠実に解析する「生体信号処理技術」と、生体模倣から着想を得た「ロボット機構制御技術」で実用性の高い筋電義手を開発してきた。
MELTANT-α × intdashで実現した、超低遅延アバタープラットフォームの実証モデル。
アバターロボットは、操作側の人間(マスター)と制御側のロボット(スレーブ)とをインターネット経由の双方向データ通信でコントロールをする。しかし、操作信号や制御信号、映像データなど多様なデータをやり取りする際のタイムラグが大きいとスムーズな遠隔操作ができない。
今回、MELTINのサイボーグ技術とaptpodが開発した双方向伝送用の超高速IoTハブフレームワーク「intdash」と統合、融合することで、人間の動作をほぼ遅延なく再現可能な、世界最高レベルのリアルタイム性を誇るアバタープラットフォームの実証モデルが実現したのである。しかも世界初の実用的なアバタープラットフォームの実証モデルと言える。
今回のプラットフォーム構築によりリアルタイム性が飛躍的に向上。
ヒトが到達することが困難な場所など、多様なフィールドでの実用的な遠隔作業が可能となった。具体的に言えば、以下のような多様性が考えられる。
■ユースケース例
危険環境(災害、高所、高温、水中、化学・生物・放射能汚染、爆発物除去)
極限環境(宇宙、深海)
リモートワーク(遠隔勤務、アバター出張、夜間警備)
観光・エンタメ(アバター旅行)
農林水産・食品・物流(農作物収穫、魚介類捕獲、加工、ピッキング)
医療・福祉(介護、アバター外出、遠隔手術)
プラットフォームはさらなる進化を遂げ、ヒトの創造性を具現化する。
アバタープラットフォームの実用化が進み、さらに膨大な実践データの集約とフィードバックループ、機械学習による自動アルゴリズムの進化生成が繰り返されることによって、様々な転用とシステムの進化が期待できる。例えば、アバターロボットを自動化することはもちろん、複数台のアバターロボットを同時制御が可能となる。さらには、MELTINの生体信号処理技術を組み合わせることで身体的なハンディキャップを抱えた人でも何不自由なく行動できるようにもなる。
まさに、MELTINが目指す“身体の限界を突破できる日“もそう遠い未来ではないのかもしれない。
株式会社メルティンMMI https://www.meltin.jp/
株式会社アプトポッドhttps://www.aptpod.co.jp/
(Y.FUKADA)