ヨーロッパの旧市街を歩いていると、どうしても撮りたくなるのが「看板」。鉄や木で出来た芸術的な作品とも言える看板が、店先にぶら下がっているだけで絵になるのだ。
プラハの旧市街を歩いていると、これもまた多くの面白い看板に出くわすわけだが、何と言っても注目したいのが壁のレリーフ。看板でもあり、住所の代わりだったそれは18〜19世紀の物である。
プラハ城に対し、南側に平行に走っている「Nerudova ulice(ネルドヴァ通り)」。店や宿、大使館が並ぶこの通りには、様々なレリーフが見られるのでちょっと注目して欲しい。
窓の間の見事なレリーフと、ドアの上には2つの太陽。これが通りの名前となった「Jan Neruda(ヤン・ネルダ)」の住んでいた家である。
窓の間のレリーフは、ヤン・ネルダを讃えた記念碑と言うべきもの。プラハだけでなくチェコには著名人の関わった建物に、こういったレリーフを飾っていることがある。モーツァルトやケプラーなど、肖像画付きのものや文字だけの場合もあるが、意外な人物がチェコに関わっていたりするので興味深い。
他も見てみよう。こちらはプラハでも有名な「3本のバイオリン」。絵ではなく立体的だが、これは本物のバイオリンを飾っているのだろうか?弦まで付いている。
こちらは赤い壁に緑色のロブスター。「緑のロブスター」という、そのままの名前を使っているホテルだった。
美しい装飾のレリーフに、金の鍵が飾られているのもある。こうしてレリーフではなく、別に作って飾っている物もあるようだ。
こちらは2軒とも入り口の上にレリーフがある。右の店はギリシャ神話に出てくる「メデューサ」をモチーフにしたもの、そして左側には「U Zlaté číše(金の盃)」と書いてある。
今はホテルと土産物屋になっているが、昔はどんな店だったのだろう。住所がなかった昔は「金の盃に行ってくる」と言って、出掛けたのだろうか。
そんなストーリーを思い浮かべながら、ついつい上を向いて歩いてしまうプラハ。石畳が多いので、足元に注意しながら楽しんでみて欲しい。
(田原昌)