フランス第2の都市、Marseille(マルセイユ)を中心としたプロヴァンス地方は、地中海の恵みが豊かな地域。海の幸はもちろんの事、地中海らしいオリーブや柑橘類も多く、内陸に入ればラベンダーに代表されるハーブや花が人々に潤いと豊かさをもたらしてくれる。
そんなプロヴァンスのマルシェは、品物が豊富で彩りも豊か。南仏の明るい日差しと共に店主と客たちの声が賑やかに響き、こちらまで楽しくなってくる。しかも、そんなマルシェがひとつの街にいくつもたち、ついつい全部のぞいてみたくなる面白さ。午前中がメインなので、なるべく早めに訪ねるのが吉。
青空にずらりと並んだテーブルの上に、鮮やかなテーブルクロスがかけられている。中には「Tissus Provençaux(プロヴァンス生地)」という、オリーブなどの柄の入ったこの地方特有のテーブルクロスも見られる。青や黄色などを使い、明るいが落ち着きのある可愛らしい布だ。
オレンジやトマトなどは、他では見た事がないほどたくさんの種類が並んでいて、「地中海らしさ」を感じる。果物の種類が豊富なのも、この辺りらしい。
ちょっと買って食べられるものに、スペイン料理と思われる大きなエビ入りパエリアや、中くらいのサイズのタコをトマトで煮込んだ料理が出ていた。タコを食べる文化は本来フランスにはなく、これも地中海ならではの料理だろう。
紐で吊してドライにした、サラミによく似たソーセージを売っている店員が「写真撮ってるなら、食べてみて!」と声をかけてきた。チーズなどでよく見かける、白カビのついたソーセージである。周りにハーブをまぶしてあったり、ヘーゼルナッツが入っているものなどがあった。やはり独特の味がするので、ワインに合いそうだ。
あれもこれもと、ついつい買いたくなってしまうマルシェ。その地方独特の食文化や伝統が垣間見られる楽しさがたまらない。
(田原昌)