アルティメット・カーデザインバトルのレギュレーション
勝負は、テーマに沿ったコンセプトデザインを30分間の規定時間内にスケッチすること。ただこれだけである。
審査員は主催するカーデザイン・アカデミーに加え、ホンダ、ヤマハ発動機、スバル、マツダ、総合車両研究所といった企業のデザイン部門、そしてカースタイリング誌、代官山蔦屋書店、コピックとデザインに関係の深い企業、専門家ばかり。
選出は投票で行い、予選で上位10名に絞る。決勝で総合優勝すると、賞金10万円が送られるほか、各企業賞が選出される。
テーマは募集時に予め提示されており、
予選「中目黒に似合うSUV」
決勝「2020年のスポーツカー」
である。
「中目黒に似合うSUV」予選結果
最近世界的に人気のSUV。様々な形のコンセプトスケッチが提案され、審査員たちの選ぶ表情も真剣そのもの。
各10票与えられ、気に入ったスケッチにシールを次々と貼っていく。特別審査員は大きなマルをつけ、重み付けがなされた。
その結果、予選を通過したのは11名。この11名で優勝賞金10万円を争奪する決勝を戦う。
直前に、まさかの決勝テーマが変更へ
決勝のテーマは、決勝開始直前に「2020年のスポーツカー」から「2020年のシェアリングを前提にした都市型コンパクトモビリティをデザインせよ」へと突如変更された。
変更に対し、司会のやまざき氏は「そんなに世の中甘くない。どうせみんな前準備してたでしょ、それじゃ描くだけでつまらない」と言及。
騒然とする決勝進出者だが、そこは臨機応変に対応。気持ちを切り替え、新しいテーマに果敢に取り組んでいた。
決勝選考の結果
30分が終了し、いよいよ掲示。何も思い浮かばず白紙のままシクシク泣いているような参加者はおらず、スケッチを見ると全員が力を出し切った様子だ。
この選考では大賞を選ぶほか、企業賞も同時に選出され、企業からは豪華商品が送られる。
特にヤマハ発動機から送られる電動アシスト付自転車PASはデザイン、ボリューム、価格ともに目立つ存在であった。
選ぶ企業担当者の眼差しも真剣そのもの。そう、このアルティメット・カーデザインバトルは参加者も審査員も、どちらも真剣勝負なのだ。
タイムラプス映像
30分のカーデザインバトル、予選と決勝の様子を30倍速のタイムラプス撮影で1分にまとめたものがこちらである。
真っ白な紙につぎつぎと浮かび上がってくるコンセプトたちの姿は新鮮だ。
また、30分の決勝の後に現れた、スケッチたちはこちら。
単にエクステリアデザインをアピールするだけではなく、機能性やコンセプトなど提案型のものが目立った。
結果発表
厳正なる審査の結果、見事入選ばれた方は以下のとおり。
「俺のポートフォリオ」賞:廣瀬裕太(武蔵野美術大学)
カースタイリング賞:後藤佑介(大阪芸術大学)
総合車両製作所賞:古山雅人(大阪芸術大学)
代官山蔦屋書店賞:徳田亮介(武蔵野美術大学)
コピック賞:平田将基(千葉大学大学院)
マツダデザイン賞:森下秀一(武蔵野美術大学)
スバルデザイン賞:佐々木翔平(武蔵野美術大学)
ヤマハ発動機デザイン賞:伊藤智広(多摩美術大学)
ウィナー:佐々木敦(多摩美術大学)
まとめ
衆人の前かつ30分という限られた時間の中、スケッチを完成させ、選考されるというのは非常にメンタル的に厳しい作業だと思う。しかし、その中できっちりと完成させてくるのは、普段から相当なドローイングを行っている賜物であろう。
そして、その手早い作業を見ているのは緊張感が伝わってきて、単なる観客として見学しいるのも非常に面白い。まるで「料理の鉄人」のバトルのようであり、軽妙な司会のトークも場を盛り上げていた。
今回初めての試みだったということだが、ぜひ近いうちに第2回目を開催してもらいたい。その時はインターネット中継などでより多くの観客にライブで伝えてみると面白いのではないだろうか。
(野間 恒毅)
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