EOS 5DsとEOS 5Ds Rの違いはたったの1つ。ベースモデルであるEOS 5Dsに対してEOS 5Ds Rは、光学ローパスフィルターの効果をキャンセルして、よりキレの強い画像が撮影できるチューニングがなされている。それ以外の差は、ない。
EOS 5Ds Rの魅力
ローパスフィルターには偽色・モアレを軽減する役割があり、長らくキヤノンはローパスフィルターの重要性を説いてきた。しかし他メーカーのローパスフィルターレスモデルが注目されている現在、市場の声に応えた形でEOS 5Ds Rを開発したと見える。
そんなEOS 5Ds Rがマッチする撮影シーンは自然の景観だ。
ビッグウェイブも水量の多い滝であっても飛沫の1粒々々までキリリと写しとれるし、朝靄に煙る山脈も空気の香りが伝わってくるようなリッチなトーンで切り取れる。神々しい光が差し込む雨上がりの空も得意分野だろう。今までのパーソナルなデジカメでは到達しえなかった世界を納められる。
EOS 5Dsの魅力
対してEOS 5Dsは、約5,060万画素をカジュアルに使える万能機だ。建造物、チェック柄や縞模様の衣類、液晶画面など、モアレが発生しやすい被写体であってもシャープに撮影できる。偽色が発生しにくいから人物撮影においても実力を発揮する。
強引に例えるならEOS 5Ds Rはレーシングカー。特定の用途において圧倒的なポテンシャルを発揮。そしてEOS 5Dsはスポーツカーだ。サーキットのみならず公道でもそのスペックを堪能できる。
両者の弱点
EOS 5DsとEOS 5Ds Rには共通する弱点がある。1つは高感度に弱いということ。この2モデルの常用ISOは100~6,400であり、APS-CサイズセンサーのEOS 7D MarkII(常用ISO100~16,000)よりも低いISO値でしか撮影できない。
もう1つはピント合わせの難易度が高いということ。高精細であればあるほど、ターゲットにぴったりとフォーカスを合わせる使いこなし術が必要になってくる。
EOS 5D Mark IIIの行方はどうなるのか
そして気になるのは、EOS 5Ds/ EOS 5Ds Rが発表されたが、EOS 5D Mark IIIがディスコンになるという話は聴こえてこない。さらにはEOS 5D Mark IVの登場を予想している海外メディアもある。
(APS-Cサイズだが)最高約10コマ/秒のハイスピード連写性能で大ヒットしたEOS 7D MarkII、軽量フルサイズのEOS 6Dなど、キヤノンは固有の特徴をもったモデルをリリースすると同時に、どんな撮影シーンにも追従するEOS 5Dシリーズのようなモデルも作り続けている。EOS 5Ds/ EOS 5Ds Rのキャラクターが高精細なのだとしたら、EOS 5D Mark IIIとバッティングすることはない。
三脚を常に持ち歩いても苦にならないのであればEOS 5Ds/ EOS 5Ds Rを狙いたい。しかし、オールマイティに使いたいとしたら、EOS 5D Mark IIIとその後継機に注目したほうがいいかもしれない。
写真:キヤノンプレスルーム
(武者 良太)
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