世界のクリスマスケーキ 5選

■クリスマスプディング(イギリス)

イギリスのクリスマスといえば、クリスマスプディング。

クリスマスプディング

ドライフルーツやナッツがぎっしり詰まり、生地には牛脂(バターやケンネ脂でも)も練り込まれた重いプディングで、日本の“プリン”のイメージとは全く違う濃密な味わいです。

材料をかき回す儀式を終えて蒸した後に、1ヶ月ほどの長い熟成期間を経たプディングは、食べる前に再度温めブランデーをかけてフランベします。黒々としたプディングが青い炎をまとう姿は幻想的。

指輪やコインなどの小物を混ぜ込んで、楽しい占いをする習慣も。
時間も手間もかかりますが(さらには美味しいとも、そうでもないとも言われますが…)、イギリスの家庭の伝統と文化がつまった温かいスイーツです。家族みんなで一から作ってみるのも楽し

■ブッシュ・ド・ノエル/ビュッシュ・ド・ノエル(フランス)

日本でもクリスマスケーキとして一般的になってきているブッシュ・ド・ノエルはフランスの伝統菓子。「クリスマスの薪」という名前の意味そのままの、薪や切り株をかたどったケーキです。

ブッシュドノエル

長いロールケーキを覆うココアやコーヒーのクリームに模様を付け、木の質感を演出します。霜のような砂糖、柊、メレンゲで作ったキノコ、マジパン細工などが飾られると、メルヘンの森のジオラマのような可愛らしい姿になります。

成り立ちについては諸説あり、北欧の古い宗教的慣習「ユール」で使われた丸太をあらわしているとも、幼いキリストのため夜通し薪をくべたことに由来するとも言われています。

「貧しい青年が恋人へせめてものクリスマスプレゼントして一束の薪を贈った」なんてロマンチックな説も。恋人と食べる時には、この説を採用するといいかも?

■シュトレン/シュトーレン(ドイツ

ドライフルーツやナッツが練れ込まれ、表面に砂糖がまぶされた甘いパン。

シュトーレン

キリスト降誕を待ち望むアドベント(待降節)の期間中に節制食として食べられていた質素なパンが由来という、なんとも謹厳なスイーツです。

14世紀ごろにザクセン州の王室御用達菓子職人が、バターやドライフルーツやナッツを取り入れる提案をしたことで、現在のような味わい深いものに変化したそう。発祥の地のザクセン州ドレスデンでは、巨大なシュトレンがパレードする豪快な祭りが今も行われています。

11月上旬から作り始め、1ヶ月近く寝かせたものをクリスマスまでのアドベントの間に少しずつスライスして食べるのがドイツ流。日に日に味が馴染み、豊かな風味を増していくのを楽しみましょう。
日本でもドイツパンやドイツ菓子のお店で手に入ります。

■パネットーネ(イタリア・ブラジル)

「大きなパン」もしくは「トーニのパン(アントーニオという職人が由来)」という意味の名前を持つイタリア伝統の菓子パン。こちらもアドベントの間に焼かれるものです。
ブリオッシュ生地に刻んだドライフルーツが混ぜ込まれた甘いパンで、パネットーネ種の酵母を必ず使うのが決まり事です。

パネットーネ

パンとケーキの間のような華やかな味わいで、ザバイオーネ(マルサラワインを混ぜたカスタード)や生クリーム、アイスクリームなどを添えて食べるとしっかりしたデザートになります。

ブラジルにもイタリア移民を通してこの習慣が渡っており、今ではブラジル中のクリスマスにはパネトーネが欠かせないそう。

■リーシプーロ(フィンランド)

サンタクロースの住所が登録されていたり、サンタクロース村があったりと、サンタクロース関連の話題には事欠かないフィンランドで、クリスマスの朝に食べられているのがリーシプーロというミルク粥です。
お米を牛乳で煮たお粥に、シナモンシュガーやベリーのソースをかけて食べます。
ph_riisipuuro
「お米を牛乳で?!」と、ちょっと腰が引ける人も多そうですが、なんとも優しく滋味あふれる味わいです。お粥の鍋に落とされた1粒のアーモンドが自分のお皿に入っていると幸運がやってくるとか。
日本の家庭にある材料でも簡単に作ることができますので、クリスマスの朝や、ちょっと胃が疲れているときなどに試してみてはいかがでしょうか。

【参考画像】http://www.kotikokki.net/reseptit/nayta/99039/Riisipuuro/

今回は、古くからのキリスト教国が多いヨーロッパのスイーツを主にご紹介しました。
茶色くて地味な印象のスイーツが多いのが印象的で、脈々と続くクリスマスという行事の歴史の深さがうかがわれます。
甘くて保存が効いて、伝統のスタイルを保ち、縁起ものとしての側面もある……なんとなく日本のお節に似ているような気もしますね!

(くぼきひろこ)

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