BMWはモスクワ・モーターショーでちょっと変わったモデルを発表した。SUVのX5をベースに装甲モデル仕様にモディファイした「X5セキュリティ・プラス」を展示。なにやらきな臭い国際情勢のなか、数ある国際モーターショーの中からモスクワの地を選んだことも、なんとなく納得させられる。
トップ画像の穴だらけの車両は、アサルトライフルのAK-47で実弾を打ち込んだもの。このような状態でも乗員は保護される。タイヤはランフラットタイヤを採用し、舗装路なら80km/hで150km走れるので、なんとか安全圏へ逃げられる計算だ。ホイールベースの長いストレッチリムジンより、ラフロードも走れるSUVなら、なおさら有利かもしれない。
BMWでは「X5セキュリティ・プラス」のほかに、7シリーズベースの「750Liハイセキュリティ」を用意するが、メルセデス・ベンツはSクラスとEクラスに。また、アウディはA8に同様の装甲モデルをラインナップしている。
いずれの装甲モデルもドイツ車だが、ドイツには国が定めた装甲レベルの基準があり、国立火器査定局やドイツ弾道学試験センターが基準認定を行っている。そのレベルはピストルから徹甲弾まで様々だが、欧州ではユーロノーム・ヨーロッパ規格委員会による防弾自動車の規格を設けていて、それがこの手のクルマ作りの基準となっている。
こうした厳格な基準のもと「X5セキュリティ・プラス」は作られているわけだが、世界的にはこうした特殊車両の需要が一定数あるということ。国際的なリゾート地でも一歩外に踏み出せば危険地域ということもある。認識を新たにしたいところだ。