ドイツの大手自動車メーカー、BMWとダイムラーが電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)向けワイヤレス充電システムを共同で開発すると発表した。
■ 各自動車メーカーが開発中のワイヤレス充電システム
EVやPHEVを充電する場合、充電設備が整っているポイントで充電ケーブルを車両の充電口に差し込んで行わなければならない。しかしワイヤレス充電システムであれば、車両のフロア部分に取り付けられた受け手側の二次コイルと、自宅駐車場等の特定の場所の床に設置された給電側の一次コイルを使用することによって、ワイヤレスでの充電が可能となる。ここ数年、各自動車メーカーは、急ピッチでワイヤレス充電システムの開発に取り組んでいる。
■「i」ブランドの普及には不可欠な要素
現在、BMWとメルセデスが開発している充電システム(出力3.6kWを90%以上の伝達効率で送電)のプロトタイプを使用した場合、BMWのPHEVスポーツカー「i8」を2時間以内にフル充電にすることができるという。また一般的なPHEVであれば、およそ3時間程度でフル充電が完了する。また「i3」のようなEVに搭載される大容量バッテリーを充電するには時間がかかるため、出力を7kWまで上げる可能性も視野に入れているとのこと。当面は「どれくらい充電時間を短縮できるか」が開発を進める上でのポイントとなるだろう。
■ 「S500プラグインハイブリッド」によるテスト
ダイムラーの中核ブランドであるメルセデス・ベンツは、昨年のフランクフルトモーターショーで発表した「S500プラグインハイブリッド」を今年の9月より発売する予定である。このモデルは「S400ハイブリッド」「S300BlueTECハイブリッド」に続く、「Sクラス」第3のハイブリッドモデル。3.0リッターV6ツインターボにモーターを組み合わせたパワーユニットはシステム最高出力442PS(325kW)、最大トルク650Nmを発生する。100kmあたりのガソリン消費は2.8リッターという、高い燃費性能も兼ね備えている。まもなくメルセデスは「S500プラグインハイブリッド」を使用したワイヤレス充電システムの大掛かりな試験を開始する。
近い将来、ワイヤレス充電が実用化されることによって充電に対する煩雑さがなくなり、さらに自動的に充電するシステムが確立すればEVやPHEVの普及は一気に加速するだろう。