伝統が生き続けるニッカウヰスキー余市蒸留所を訪ねて

札幌から函館本線に乗り、小樽で乗り換えて約1時間。余市は海と川に面する水の豊かな街だ。

駅からは徒歩で数分、余市蒸留所の石造りの門が出迎えてくれる。

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NHKの朝ドラですっかり有名になったニッカウヰスキーだが、もともと海外のファンも多い。

海外の賞を多く獲っている事も理由のひとつではあるが、それ以上に本場であるスコットランドでも失われた、手間のかかる伝統を未だに守り続けているからだ。

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そんな余市の蒸留所では、無料の見学ツアーを行っているのでぜひ参加してみよう。

ガイド付きのツアーと、フリーのツアーから選べるようになっている。(年末年始などツアーが休みの場合もあるので注意)

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蒸溜棟に入ると、出迎えてくれるのが大きな銅製の蒸留器(ポットスチル)。

北海道という土地が提供してくれた石炭を今でも使い、なんと15分おきに火を確認し、くべている。

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熱くて危険な重労働ではあるが、これこそニッカウヰスキーの味と香りを生み出す重要な工程であり、職人技だ。

世界中のウイスキー蒸留所を見ても、今ではこんな面倒な事はほとんど行われていない。こだわりと情熱が、伝統を守り続けている。

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ドラマでも使われた、独特な建造物も素晴らしい。

石を使った重厚な造りに赤い屋根。北海道の気候と、ウイスキーに合わせた造りだ。

マッサンこと竹鶴政孝と妻のリタが暮らしていた家も、この敷地内に保管されており、一部見学が可能になっている。

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博物館は、貴重なウイスキーと竹鶴の遺品などを展示していた。彼のウイスキーに対する情熱をのぞくチャンスだ。

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見学ツアーの最後には試飲が待っている。外の美しい自然を眺めながら、ガイドに教えてもらった飲み方で飲んでみよう。

世界中の人々を魅了する味と香りを、現地で飲むほど贅沢なことはない。

(田原昌)