圧倒的な荘厳さを体感する世界遺産の聖地「サンティアゴ・デ・コンポステーラ」

世の中には「聖地」と呼ばれる場所が幾多もある。

自然の美しい場所であったり、歴史的場所であったり、宗教的な場所であったりと「聖地」のゆえんはいろいろだ。

筆者が実際に訪れた聖地と呼ばれる場所の中で、圧倒的な存在感と威圧感を感じ取った場所がある。

キリスト教三大巡礼地の1つで世界遺産の街、スペインの「サンティアゴ・デ・コンポステーラ」だ。

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同国のガリシア州に位置するサンティアゴ・デ・コンポステーラは、教会の下に聖ヤコブの墓を持つ1000年以上の歴史を持つ聖地だ。

年間約10万人の巡礼者が訪れるこの地は、フランス ピレネー山脈を越え、780~900kmを歩いた末の巡礼路の終着地であり、非常に多くの信者が祈りを捧げてきた場所である。

それだけの祈りと思いが詰まった場所だからか、威風堂々たる建物が放つ威圧感に偉大な力を感じた。

しかし建物から受けた威圧感などは序の口で、教会の中に入るとさらに大きな衝撃を受けた。

規則正しく並んだ美しい白のアーケードの奥に、想像を遥かに超える美しい祭壇が鎮座する。祭壇を取り囲む装飾は他に例を見ないほど豪華絢爛。

一つひとつを細部までしっかりつくり込んでおり、すべてが芸術品である。華やかな装飾をまといながら、得も言われぬ厳粛な雰囲気と荘厳さを発する空気に圧倒される。

色調も歴史を感じさせるアンティークな色合いで、すべてが素晴らしいの一言に尽きる。

すべてにおいて「重み」と「強い思い」を感じられるのだ。

これが「聖地」が発するパワーなのか、と恐れ入った。

教会へは観光客も自由に出入りでき、ミサにも参加できる。神聖な雰囲気の中で執り行うミサも一見の価値あり。

筆者が訪れた時は、ミサに日本人の神父がいた。遠い異国の地で、しかも聖地にて日本人神父に出会うとは、なんともドラマティックである。

教会の外は時間によって景色を変える。それぞれが神々しい風景となり、見ているうちにいつの間にかこの地が好きになっている。

荘厳な雰囲気が包むサンティアゴ・デ・コンポステーラだが、教会の外では昼はパフォーマーが集まり、夜は野外でライブ演奏を行っている。

世界各国から訪れた人たちが広間に集まり、笑顔で、時に酒を入れてほろ酔い気分でダンスをしたりと、ミサとは違ったひと時を過ごす。

このギャップもまた、サンティアゴ・デ・コンポステーラの魅力である。

ほかでは決して体験できない特別な時間。

すでに多くの地を訪れ、少々旅に飽きてきた人でも大いに楽しむことができるだろうこの場所に、ぜひ足を運んでほしい。

あなたの価値観が変わってしまうほどの感動が、きっとあるだろう。

(ゆめたび)