昨今ニュースでよく目にするスコットランド。その歴史や風土を代表するようなお酒がスコッチ・ウイスキーだ。1つの蒸留所のお酒だけを楽しむ「シングル・モルト」も、複数の蒸留所のお酒を配合してつくる「ブレンデッド・ウイスキー」も最高のものがたくさんある。スコットランド各地のシングルモルトを4本と、ブレンデッドを1本ご紹介。
■ラガヴーリン16年熟成(アイラ)
「アイラの巨人」「銘酒中の銘酒」など、世界中のウィスキー好きから賛辞を浴び続けるラガヴーリン。アイラ・モルトらしい重厚な香りで、個性的でありながらとてもエレガント。最終的にラガヴーリンに帰ってくるツウは多いとか。
■グレンモーレンジィ ネクター・ドール(ハイランド)
本場スコットランドやイギリスでとても人気の高い、ハイランド発祥の蒸留所グレンモーレンジィ。近年LVMH傘下となり大きな変化も経験したが、ハウススタイルを堅守した伝統のウィスキーの確かさも残している。ソーテルヌの樽で熟成されたネクター・ドールは、果実のような甘さや芳醇さを感じさせる。
■アベラワー・アブーナ(スペイサイド)
スペサイドのラワー川沿いにあるアベラワー・グレンリベット蒸留所。フランスでの人気が高いことでも有名だ。軽やかな魅力のあるものが多いが、アブーナ(a’bunadh)はまた雰囲気が違う。オロロソシェリー樽で寝かされた原酒のみをボトリング。何も調整しないそのままの味は“起源”を意味する「アブーナ」の名を体現している。
■ローズバンク(ローランド)
いまや蒸留所が数えるほどとなってしまったローランド・モルト。その3回蒸留の伝統を継承していたローズバンクも1993年に閉鎖されてしまった1軒だ。女性のたおやかさを感じさせるようなエレガントなウィスキー。
閉鎖を惜しむファンが後を絶たず、いまや入手困難で価格が高騰している。お酒とともに時の流れを味わうようなウイスキーだ。
■キングスバリー・メイン バライル
「シングルカスクのブレンデッド」という驚きの1本。同じヴィンテージの複数の原酒を、1つの樽で32年間も熟成させたという固定観念を覆すような面白いウイスキーだ。愛好家の熱い視線を集めている。ちょっと珍しいお酒を飲みたい向きにもオススメ。
1日の終わり、静かで個人的な時間には、ウイスキーほどふさわしい飲み物はないのではないだろうか。個性豊かなスコットランドの銘酒たちとくつろぎの時間を過ごしてみては。
(くぼきひろこ)