嫁入り道具として、あるいは着物の収納家具として、かつては一般的な家財であった桐の箪笥(たんす)。全国に産地があり私たちの暮らしに根づいていたが、近年の新築住宅では見かけることも少なくなった。
各地で姿を消しつつある古い家具に、新たな命を与える取り組みが富山を拠点に行われている。
日本の古物の再生に取り組む「yes(家’s/イエス)」のポップアップが、表参道のライフスタイルショップ「CIBONE」にて開催される。期間は5月20日(土)から6月11日(日)までだ。
富山のアップサイクルカンパニー「yes」
富山を拠点とするyesは、「見過ごされていた価値を再構築し、世界を豊かにする」をビジョンに掲げ、家具のアップサイクルや空間プロデュースを行うアップサイクルカンパニーだ。伝統的な家財品に新しいエッセンスを組み合わせ、未来に向けて再生する活動をしている
代表的なプロジェクトとして、空き家問題にアップサイクル家具で新たな価値を与える「tansu × acrylic」や、木彫りの熊をアートの力でアップサイクルしたプロダクト「Re Bear Project」がある。
今回展示するのは桐箪笥だ。古くなった、壊れてきたといった理由で持ち主が手放す直前の箪笥を引き取って加工。
数十年、ときには百年を経てくたびれた部分を、桐材に代わってアクリル板を用いて新たな使い方を生み出している。
桐材とアクリル板という、一見すると両極にあるように感じられる異素材だが、ともに軽く、加工しやすい共通点をもつという。
カラフルで透明感のあるアクリル板は明るい現代の住宅にもマッチし、アーティスティックな居住空間を演出する。
ライフスタイルの変化で着物の収納場所を必要としない今の暮らしに合わせ、多目的なシェルフとして使えるようアレンジがほどこされている。余白を残してコレクションを飾るなど、アクリル板が映えるよう使いたくなる。
一方で、将来的にアクリル板を桐材に戻して、元の状態に近い形で使うこともできるような仕上げになっている。古い物や、その作り手へのリスペクトを感じさせるプロダクトだ。
今回の展示会では定番色をはじめ、CIBONE別注色も加わる。都内では唯一となる豊富なラインナップで、「タンス」の新たな価値を体感できる機会となっている。
新旧素材の幸福な出会いで新たな価値を創造
会場となるCIBONEは「New Antiques, New Classics」をコンセプトに、長い時間軸に寄り添って「物とつきあう」ことを提案するライフスタイルショップだ。
かつては2代、3代と受け継がれ、大切に使われてきた桐箪笥。何もしなければ、壊れて捨てられるはずだった古い家具に新たな命が吹き込まれる。伝統工芸の技術と、現代的で手入れのしやすい新素材との幸福な出会いだ。
yes POP UP「CIRCULATE」
会期:5月20日(土)~6月11日(日)
在廊日:5月20日(土)~5月24日(水)
会場:CIBONE
所在地:東京都渋谷区神宮前5-10-1 GYRE B1F
営業時間:11:00~20:00
イベント詳細:https://www.cibone.com/news_exhibition/7228/
PR TIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000389.000036230.html
(SAYA)