米国カリフォルニア州で開催されたモントレー・カーウィークの「ザ・クエイル・モータースポーツ・ギャザリング」でワールドプレミアされた「ランボルギーニ・ウラカンLP620-2スーパートロフェオ」。アウトモビリ・ランボルギーニの次世代のモータースポーツカーである。
開発は明確なレーシングコンセプトに基づきゼロから進められ、モータースポーツの厳しい安全基準をクリアしつつ、洗練された高いパフォーマンスを実現するべく設計されているという。安全性を高めるロールケージはキャビンだけでなく、シャシーのリアアクスルにまで伸び広がる大型サイズのものが採用されているが、その単体重量はわずか43㎏と実に軽量だ。さらにねじり剛性の従来モデルから45%アップという大幅な進化に貢献している。またベースモデルのウラカンが持つカーボンとアルミニウムによるハイブリッド構造フレームにも手が加えられており、改良されたフロントのラジエーターとより優れた空力学的効果を発揮するリアのレーシング・ギアボックスに合わせて形状が修正された。
パワートレインは、ロードカーと同じ5.2LのV10直噴エンジンを搭載。最高出力は、10hpアップされた620hpを発揮する。乾燥重量が1270㎏と軽量に仕上げられたマシンのパワーウエイトレシオは、2.05㎏/hpと驚異的なスペックを実現。そして、このハイパワーをリアタイヤのみで路面へと伝達するのが、このモデル最大の特徴といえよう。その走りを支えるタイヤには、専用のピレリ社製のものが装着されており、ロードモデルとは異なるサイズのフロント305/660-18及びリア315/680-18をセレクト。足回りには、全ての調整が可能なアンチロールバーおよび2ウェイ・アジャスタブルなオーリンズ社製ダンパーが採用される。
電子機器も大幅な進化もこのモデルの特徴のひとつで、レーシング専用の新軽量ケーブルと接続ユニットを搭載。コントローラーには最新の「MOTEC M182」を使用しており、データ収取や専用のシーケンシャルギアボックスの制御などを行う。また特殊機能として、トランクション制御とボッシュ社製モータースポーツABSも採用。これにより、ドライバーは天候やトラック状況に合わせて12種類のモードから最適なものを選択できる。
エアロデザインも工夫が凝らされており、常に最大のトランクションとダウンフォースを実現すべく空力特性の改善を行っている。さらに10種類の設定が可能な可変式リアウィング、前後のデュフューザー、調整可能なフロントエアインテークなどが、従来モデル以上にバランスを向上させたエアロダイナミクス特性をサポートしてくれる。
ウラカン・スーパートロフェオの開発には、ジャンパオロ・ダラーラ氏が率いるダラーラ・エンジニアリングも参加し、空力学的性能最適化および車体開発を行っている。このプロジェクトには、ダラーラ氏本人も開発に携わっているという。彼は、初期のランボルギーニで活躍し、ミウラなどの数々の名車を世に送り出した名エンジニアである。
ダラーラ氏は、「ダラーラ・エンジニアリングにとって、このようなハイパフォーマンスモデルの開発への参加は、非常に貴重な経験となった。そして、私個人としては、ある意味“古巣を再訪する”かのような体験であったと思う」とコメントしている。
待望の実戦デビューは、来年に行われるランボルギーニのワンメイクレースである「ランボルギーニ・ブランパン・スーパー・トロフェオ」シリーズの予定だ。