国立能楽堂に、無料で閲覧できる展示室があるのをご存じだろうか。
現在開催中の企画展「秋の風 能楽と日本美術」では、主催公演の能の演目に合わせ、秋をモチーフにした能装束等の特別な美術作品を多数展示している。
普段は見ることができない貴重な作品を展示
本展の中でも、9月16日(金)に定例公演で上演する能「松虫」と9月23日(金)の企画公演 復曲能「薄」に合わせて展示される、能管「松虫」(個人蔵)と「芒野図屏風」(千葉市美術館蔵)は、普段見ることができない貴重な作品。
能管「松虫」は、江戸時代、幕府に届けられた書上にもある名管で、歴史的にも大変貴重な品。9月16日(金)の公演当日より特別出品されている。
「芒野図屏風」は、江戸時代後期の絵師・鈴木其一氏の名画。銀箔地に銀泥と墨で描かれているため、保存が非常に難しく、年間二週間しか公開されない。
その貴重な機会を、国立能楽堂の資料展示室で見ることができる。9月21日(水)から10月2日(日)の2週間のみの展示となるので、この機会を逃さないようにしたい。
能楽の保存と普及を目的に開場・国立能楽堂
国立能楽堂は、能楽の保存と普及を図ることを目的として1983年9月に開場。日本の伝統芸能の一つである能楽は、世界の古典劇のなかでも極めて古い歴史を誇るものであり、簡素で集約された演技・演出による独特の舞台芸術として、後世ながく受け継がれるべき貴重なものだ。
国立能楽堂では、自主公演として「定例公演」、「普及公演」、「狂言の会」の他、中学・高校生を対象とした「能楽鑑賞教室」などの形で、ひろく一般に能楽に親しむ機会を提供する一方、能楽の後継者の養成事業として、ワキ方、囃子方(笛・小鼓・大鼓・太鼓)、狂言方の新人養成研修を行っている。
建物配置は対角線の強い方向性をもった軸線を設定し、門をくぐり前庭を玄関に向かって進み玄関から広間、歩廊をへて見所に入り舞台まで達するまでのすべてが対角線上にからむように設計されている。外界から内部へ人を自然に導く空間的順路を身体で経験することで、人の心を能の幽玄なる世界へと自然に誘い込むようにしている。
秋の訪れを感じに、ぜひ国立能楽堂へ足を運んでみたい。
国立能楽堂 企画展「秋の風 能楽と日本美術」
期間:開催中~10月21日(金)
会場:国立能楽堂
所在地:東京都渋谷区千駄ヶ谷4-18-1
開催時間:午前11時~午後5時
休室日:月曜日 ※月曜日が祝日の場合は火曜日休室
入場料:無料
特設ページ:https://www.ntj.jac.go.jp/nou/event/7029.html
(suzuki)