クリエイティブな感性が刺激される一冊。
青幻舎は、写真家・映像監督の奥山由之氏がデビューから12年間にわたり手掛けてきた数々のクライアントワークを1冊にまとめた写真集『BEST BEFORE(ベストビフォア)』を2月上旬に刊行した。
作品総数445点!大ボリュームな写真集『BEST BEFORE』
米津玄師、星野源、あいみょんといったアーティストとのコラボレーション、ポカリスエットなどの広告写真、大河ドラマ『麒麟がくる』のメインビジュアル、『GINZA』などのエディトリアルワーク、広瀬すず、菅田将暉、平手友梨奈、小松菜奈といった時代を象徴するアイコンのポートレートなど、その質と量に圧倒される奥山氏の仕事。
個性的で唯一無二の世界観が500ページを超える大ボリュームにまとまった本書は、発売前から注目を集め、Amazonの事前予約数では出版社記録を更新。
他方で、各種メディアで取り上げられ、発売直後からしばらくの間Amazon売れ筋ランキング「写真家の本」カテゴリーで1位を記録し続けた。
その反響はオンラインにとどまらず、代官山 蔦屋書店において2月度の月間売上総合1位に輝くなど書店にも広がり、発売から10日での重版決定となった。
個性的でユーモア溢れる世界観が詰まった一冊
2010年のデビュー以来、数々の写真集や展覧会で精力的に作品を発表し続け、写真新世紀優秀賞や、講談社出版文化賞を受賞。近年では、話題のMVやTVCMを数多く監督し、まさに現在のクリエイティブシーンを牽引している奥山氏。
クライアントや被写体と真摯に向き合い、じっくりと丁寧に関係性を築き上げ、極限までアイデアを考え抜き、試行錯誤の検証を繰り返した先に辿り着いた、まさに結晶のような写真群は、色味や質感といった表面的な統一感がなく、まるで子どもが遊び散らかした部屋さながらの混沌、パワフルさ、無邪気な情熱に満ち溢れている。
多重露光、エマルジョン・リフト、スローシンクロ、コラージュ、複写、感光、などといった緻密に計算された実験的な手法によって生み出された作品から、瞬発力を活かして決定的瞬間を切り取ったドキュメント写真まで、ジャンルを超えて作品ごとに更新されるそのスタイルは、一回一回の撮影を徹底的に突き詰める奥山氏だからこそ成せる業。
読者は、ページを捲るごとに、個性的でユーモア溢れる奥山氏の世界観に惹き込まれ、圧倒的な視覚体験をすることになるだろう。
本書のタイトル『BEST BEFORE』は“賞味期限”を意味する言葉。
この一見アイロニカルなタイトルは、本書に収録された作品の輝きが永遠に色褪せないことを証明するため、逆説的に名付けられた。
作品の魅力、著者の魅力が凝縮した一冊を手に取ってみたい。
BEST BEFORE
著者:奥山由之
アートディレクション:平林奈緒美
寄稿:伊藤貴弘(東京都写真美術館学芸員)/河尻亨一(編集者)
判型:B5変形/上製本
ページ数:512頁
定価:本体8000円+税
特設ページ:https://www.special.seigensha.com/bestbefore
(hachi)