2017年から日本市場へ参入、日本への輸出を目指して活動を始めたアイルランド。2019年に日本市場の基準への適合や確実なトレーサビリティなどの対応によって、アイリッシュラムの日本への輸出が可能となった。
■ミシュランシェフも評価する風味豊かな肉質
アイルランドはヨーロッパの西の端に位置し、北海道ほどの面積の国土に約500万の人々が暮らしている。一年を通して気候は温暖で適度な降水量があり、国土の8割以上が牧草地などの草原緑地となっている。
このように気候風土が牧畜に適したアイルランドでは、人々の数よりもはるかに多い羊や牛が飼育され、質の高い羊肉や牛肉などを生産している。
羊は、アイルランドの美しい風景に溶け込み、アイルランドの農業にとってなくてはならない存在となっています。青々とした牧草地は、自然で健康な羊にとって理想的な生育環境です。アイルランド産ラム肉は、柔らかく、ジューシーで、風味豊かです。このような特徴は、さまざまな料理に適しています。
多くの日本人にアイリッシュラムの味わいを楽しんでもらえることを願っているとポール・カヴァナ駐日アイルランド大使はこう語る。
また、アイリッシュラムをはじめ本格的なアイルランド料理を日本の人々に紹介するために東京と島根でアイルランド料理店「巨人のシチューハウス」を経営するアラン・フィッシャー氏は、風味が豊かで肉質が素晴らしいアイリッシュラムの食べ方として、日本で人気のあるジンギスカンや焼き肉もピッタリだという。本当に美味しいラムの特徴として次のように説明する。
アイルランドの牧畜の特徴は、牧草飼育です。夏は暖かく、冬も温暖なアイルランドでは、羊や牛に適した牧草が豊富です。
牧草飼育の仔羊は、母乳と牧草だけで成長します。これにより、肉に含まれる飽和脂肪の量を減らすことができます。また、ビタミンA、ビタミンE、タンパク質の含有量が増加するなど、栄養面でも優れています。健康に生育すると同時に優れた肉質を実現しているのです。
■ふるさと納税の返礼品目にもアイリッシュラムが
北海道の遠軽町では、今年からアイリッシュラムがふるさと納税の返礼品目に加わった。
遠軽町には、1964年の東京オリンピックの際に参加各国選手団が持ち寄った272種の木の種から50年以上をかけて育てられた「1964東京オリンピックゆかりの展示林」がある。その中にはアイルランド産の樹木も含まれている。
この展示林をきっかけとして今回の東京オリンピック・パラリンピックでは、アイルランドのホストタウンとして登録、さまざまな交流事業が行わた。現在も交流は続いており、遠軽町はアイルランド産の農産物を日本で普及させることを目指し、またアイルランド政府はふるさと納税への協力などを通じて遠軽町を支援している。
アイリッシュラムの全輸出量で日本が占める割合はまだごく僅か。だが、アイリッシュラムの美味さを知る人が増え、今後日本市場にアイリッシュラムが多く出回ることを期待したい。
遠軽町ふるさと納税申し込みサイト:https://www.furusato-tax.jp/city/product/01555/0
巨人ストア:https://kyojinstore.official.ec/
(冨田格)