健康への意識が高まる昨今、美味しくヘルシーな肉が日本に上陸した。
ラム肉は栄養価が高く低カロリー。牛肉100gあたりのカロリーは和牛もも肉が256kcalなのに対し、ラムのもも肉は100gあたり198kcal。鉄や亜鉛の他、ビタミンやカルニチンも豊富で、健康意識が高い層やダイエットに関心がある人に人気の肉。コロナ禍でより健康への意識が高まる一方、運動量が減ったという声も聞かれる中、日々の生活に取り入れたい食品だ。
そんな中、日本ハム株式会社では9月からチリのラム肉の販売を開始。極限的な気候条件を持つチリのパタゴニア産ラム肉がついに日本に上陸し、主に外食産業向けに流通が開始される。
■パタゴニア産ラムが日本上陸に至る経緯
このパタゴニア産ラムの輸入を、日本上陸に至るまでサポートしてきたチリ貿易振興局 (ProChile) 日本オフィス代表兼チリ大使館商務・農務参事官のハイメ・リベラが経緯について次のように述べている。『1年以上前、私たちはチリ産ラム肉の日本市場への導入・拡大を検討するため、官民合同のチームを結成しました。この共同チームを作ったのには、まずチリは日本への輸出にあたりこの製品が関税ゼロという利点を持っていることに加え、日本では健康志向を背景に羊肉の消費量が増加していることを私たちの調査で知り、チリ産パタゴニア種のラム肉に大きなビジネスチャンスがあることが分かったからです。共同チームはまず、チリのラム産業に関する確かな情報の提供を日本の食肉輸入業者に提供することから始めました。その後、数社がチリの生産者に関心を寄せたことからB2Bミーティングのコーディネート、交渉のフォローアップ、契約締結に至るまでのサポートを行って参りました。成功事例の一つがこちらです』
さらに、チリ貿易振興局マガジャネス(チリ最南の州)オフィスの地域ディレクターを務めるクラウディオ・ヴィジャロエルは、『このラムは、チリの南端に位置する特有の気候条件をもつ地域で生産されており、製品を高品質に保つために定められた厳しい生産基準を満たしています。日本の皆様に喜ばれる品質であると確信しています』と述べている。
■極限的な気候条件のもと牧草で育てられた羊
今回上陸したパタゴニアで育ったラム。パタゴニアは南米大陸の南部に位置するチリとアルゼンチンにまたがる南北に長いエリアで、南極大陸の目と鼻の先という土地。そんな極限的な気候条件のもと牧草で育てられた羊は、大量生産された羊と大きな違いがある。
パタゴニアラムは他の産地に比べて赤身で小ぶりゆえに食べやすく、欧州ではグルメ食材として位置付けられている。
生産者のシムノビッチ社は冷凍品を量販店で販売する国内メーカーであり、EU圏では「シムノビッチ」ブランドが商標登録されている。ラム好きに定評がある同社のボリス・シムノビッチ氏いわく「肉の焼き加減や調理方法によってマリアージュは変わりますが、ワインとの組み合わせで個人的に一番好きなのはカルメネール。人によってはシラーが一番合う、という人もいます」とのこと。
外食をする機会が制限される中、何を食べるか・どこで誰が作ったものを食べるかという意識が高まっている。この機会に極限の地で育った渋み深いパタゴニア産ラムを堪能してみたい。
(suzuki)