各ブランドが積極的にアーティストとコラボするようになった昨今。
イタリア発のラグジュアリーブランド フェンディ(FENDI)が、ニューヨークを拠点に活動するアーティスト、サラ・コールマン(Sarah Coleman)にマイアミデザイン地区にある旗艦店「フェンディ マイアミデザイン地区店」の再解釈と、1点物のデザイン作品の制作を依頼した。
創業以来一貫して、そして今日ではシルヴィア・フェンディ(Silvia Venturini Fendi)のビジョンを通じて、伝統的な方法論とハンドクラフトを、新たな方向へと推し進めてきたフェンディ。
2020年11月27日(金)から12月6日(日)まで開催される「デザインマイアミ 2020(Design Miami/ 2020)」のために生み出されたコンセプトは、再利用というコールマンのデザイン理念と、フェンディのDNAに基づいている。
サラ・コールマンはこのテーマを文字どおり実践して、フェンディのハンドバッグのファブリックを活用。フェンディのアーカイブから選んだイメージをヴィンテージ雑誌の紙面にコラージュし、椅子を制作した。
また、同コラボレーションの一環で、シルヴィア・フェンディがデザインを手がけた「ピーカブー アイシーユー(Peekaboo ISeeU)」バッグを、2020年11月下旬より「フェンディ マイアミデザイン地区店」にて限定販売する予定。
FFロゴをエンボス加工で施したアイコニックなフェンディ イエローの「ピーカブー アイシーユー」のほか、FFロゴの蛍光ビーズと刺しゅうが暗闇で光るホワイトのナッパレザー素材、そしてFFロゴをマルチカラーで刺ししゅうしたキャンバス素材の3種類を展開する。
加えてサラ・コールマンは、1点物の「ピーカブー」作品も制作。真っ白なキャンバス素材の「ピーカブー」を漆喰とアクリル絵具でマルチカラーに変身させ、カットしたスウェードで象ったFFロゴに樹脂で艶を出した。
この作品の大胆な色使いは、マイアミの活気あるアートシーンと、サラ自身が幼少期に愛用した奇抜な遊び道具からインスピレーションを得ている。
伝統に従い、フェンディの「デザインマイアミ」との長年に渡るパートナーシップを称えて、「フェンディ マイアミデザイン地区店」は、サラが考案したコンセプトに基づいてファサードをドレスアップし、曲線的に変形させたアイコニックなイエローの「ペカン」柄で飾られた。
さらに、「デザインマイアミ 2020」会期中、旗艦店にディスプレイされる一連のデザイン作品も制作。フェンディが80年代に発表したビーチバッグのコーティングキャンバスを用いたクッションは、彼女の代表作のひとつである分解したヴィンテージのデザイナーズバッグを張った椅子からヒントを得て誕生した。
その他、イエローのアクリル絵具と漆喰で新たな仕上げたヴィンテージの籐製ピーコックチェアや、ヴィンテージの本や雑誌のコラージュのカバーを掛け、フェンディのアーカイブ写真の変形プリントをミックスしたアクリル樹脂のジグザグチェアなども制作。この作品は、ヴィンテージの紙材、フェンディのアーカイブから選んだイメージ、形を歪曲させたアイコニックなフェンディプリントと、複数の再利用を重ねて作られている。
ビジョンと素材使いの意外性を前面に押し出している作品の数々をぜひ画像で楽しんでもらいたい。
(Yuko Ogawa)