東日本大震災からちょうど10年になる2021年に、日本最大級のステージレース「ステージレース三陸311」が開催される。
リアスの海と山、そして町の魅力を発見しながら走れるレースだ。
■「ステージレース」とは
長距離を数日間に分けて1日ごとのゴール(キャンプ地)を決め、毎日の成績を集計していく競技。選手たちは各キャンプ地に宿泊し、翌日また一斉スタートする。自転車の「ツール・ド・フランス」、自動車の「パリ・ダカール・ラリー」のようなスタイルのレースで、ランニングでは毎年サハラ砂漠で行われる「サハラマラソン」が有名。現在日本国内では、300kmを超え、数百人が参加する規模のステージレースは行われていない。
■「ステージレース三陸311」
競走することだけが目的ではない。複雑な入り江によるリアス海岸の絶景や、日本では珍しい“海を見ながら山を走る”トレイル、豊富な海と山の幸など、三陸の素晴らしさを発見していく旅だ。途中には一部区間を三陸鉄道に乗って移動するという、ランニングレースでは異例のステージも。
そしてスタート、フィニッシュとキャンプ地は、東日本大震災で津波による大被害を受けた町々。震災から10年経ち、復興から次のステップに踏み出している地元の皆さんと一緒に、新しい三陸を盛り上げ、その魅力を国内・海外に向けてひろく発信して行くイベントだ。
■コース
スタートは岩手県宮古市の浄土ヶ浜。そこから南下し、山田町、大槌町、釜石市、大船渡市、陸前高田市、そして宮城県気仙沼市、南三陸町まで、2県に渡る5市3町を走る。途中、三陸鉄道に乗車する移動区間もあり、それ以外の走行距離の総計が311kmとなる。(2020年3月案、変更する場合あり)
■復興した町をさらに盛り上げることができるかもしれない
このレースの構想が生まれたのは、東日本大震災直後のこと。企画したスタッフは、被災地の復旧ボランティアに参加し、車で南三陸から宮古まで移動。その時、壊滅状態の被災地の間には美しい風景の山や岬があり、“海を見ながら山を走る”という他にはない魅力があることに気づいた。
多数のランナーが泊まりながら進むステージレースならば、復興した町をさらに盛り上げることができるかもしれないと考え、そして震災の記憶を受け継いでいきたいと、全長を311kmとすることにした。
震災から10年経った来年、三陸の魅力を知るレースに参加しよう。
■「ステージレース三陸311」実施概要
開催日:2021年夏(8月下旬を想定)
場所:岩手県宮古市・山田町・大槌町・釜石市・大船渡市・陸前高田市・宮城県気仙沼市・南三陸町
参加募集人数:500人(予定)
参加者募集:2021年3月開始予定
プレ大会:2020年8月21日(金)~23日(日)(予定)
※50人ほどの規模でコースの一部を走る「プレ大会」を計画中。3日間で120km程度を走る予定だが、今後の新型コロナウイルスの感染状況を考慮し、実施の可否を5月下旬に判断。
(田原昌)