老後2,000万円問題から半年、その後の実態を調査。「貯蓄から投資へ」いよいよシフト!?

令和元年のトップニュースのひとつと言えば、公的年金以外に老後資金として2,000万円が必要だとする金融庁の報告書に端を発した「老後2,000万円問題」。

報告書提出から約半年が経とうとする中、ファイナンシャルアカデミーは、全国の20代から50代の働く男女600名を対象に「令和元年の個人のお金に関する意識調査」と題して、老後2,000万円問題をきっかけにした消費者の意識や行動の変化を調査した。

 

■老後2000万円問題、認知率は約7割。

「老後2,000万円問題の概要を知っていますか?」という質問に対し、「はい」と回答した人は約7割。様々なメディアにより問題が報じられたこともあり、その認知度の高さを再確認する結果となった。

■「老後2,000万円問題について約8割の人が「自分ごとだと感じる」と回答

老後2,000万円問題の概要を「知っている」と回答した人を対象に、「老後2,000万円問題について、自分ごとだと感じましたか?」とたずねたところ、約8割の人が「そう感じる」と回答しました。また、「とても感じた」と「まあそう感じた」と回答した人の年代の内訳を調べたところ、20代が22%、30代が27%、40代が25%、50代が26%と、年代による差がほとんど見られず、老後資金問題は全年代において、自らがいつか直面する「自分ごと」の問題として捉えているということがわかった。

■老後2,000万円問題を機に、新たに2割が「何かしら行動を起こした」

「老後2,000万円問題をきっかけに、老後資金準備のために具体的な行動を起こしましたか?」という質問に対して、「資産形成を始めた」「情報収集や勉強を始めた」と回答した人があわせて約2割となり問題を機に新たに何かしらのアクションを起こしたことがわかった。また「以前から老後資産形成を行っている」という人とあわせると半数を超える人が老後資金の準備に対してアクションを起こしている実態も明らかに

Q.老後2,000万円問題をきっかけに、老後資金準備のために具体的な行動を起こしましたか?

 

■問題をきっかけに行ったこと、上位は情報収集や身近な人への相談

老後2,000万円問題をきっかけに行った具体的な行動をたずねると、「インターネットによる情報収集」がトップとなり、「家族との話し合い」「資産運用に関する勉強」「家計の見直し」がその後に続いた。老後2,000万円問題を機に具体的な資産運用を始めた人もいた。

■公的年金以外に必要な老後資金、2,000万円以上が約半数!

「老後資金として公的年金以外に個人で準備すべき金額は一人あたりいくらだと思いますか?」という質問に対して、2,000万円以上と回答した人が約半数に。一方でわからないと回答した人も3割弱いた。

Q.老後資金として公的年金以外に個人で準備すべき金額は、一人あたりいくらだと思いますか?

■あてにしている老後資金、5人に1人は「公的年金以外にない」

「公的年金以外であなたが当てにしている老後資金は何ですか?」という質問に対して、トップ3は「預貯金」「定年後に働き続けることによって得る収入」「公的年金以外にはない」となった。5人に1人は公的年金以外の老後の備えがないという実態も浮き彫りになったが、公的年金以外に準備する必要がない、と考えているわけではなく、どのように準備すれば良いのかわからない、という自体に陥っている可能性もありえそうだ。

 

■一過性の問題として終わらせることなく、具体的な行動に落とし込めるか
政府が「貯蓄から投資へ」を初めて謳ったのが2001年。2016年頃に「貯蓄から資産運用へ」と言い換えられはしたが、投資の必要性が叫ばれて既に18年も経つ中で、やっと「老後2,000万円問題」を機にこれまで意識していなかった人たちも危機感を持ち始めているようだ。アンケート調査の結果でも8割の人、しかも全年代で「自分ごととして感じる」と回答があったことからも明らか。報告書提出から半年が経ち改めて思うことは、その後アクションに移せたかどうかが鍵だということ。一過性の問題として終わらせることなく具体的な行動に落とし込めたか、今こそ再確認すべきだ。

■「お金の体質改善」に取り掛かる
「公的年金以外であてにしている老後資金」に関しては、王道の預貯金に続き、労働収入が2位。今回の報告書を機に、自ずと今の働き方や健康について考えた人もいたのではないだろうか。

3位の「公的年金以外にない」の回答者の多くは、公的年金だけで十分、という状況ではなく、公的年金以外に準備できていないがどうしたら良いかわからない、という状況ではないかと想像している。

多くの人にとって公的年金だけでは老後資金が不足することは明らか。必要金額の試算→家計の見直し→先取り貯蓄→つみたてNISAなどの長期投資、と一歩ずつ進みながら「お金の体質改善」に取り掛かることを考えていかなければならない時代だ。