エルベ川に沿って広がる古都ドレスデン。ドイツのザクセン州の州都であり、陶器の街・マイセンが近く、旧東ドイツの香りも少し残る美しい街だ。
ここに、地元の人オススメのBrauhaus(自家製ビールを醸造するレストラン)があると聞いたので訪ねてみた。
店はレンガ造りの立派な建物で、大きな窓が特徴的。「Watzke(ヴァツケ)」というレストランだ。
場所はエルベ川の隣にあって景色がよく、吹き抜ける風が気持ちいい。人々は緑に囲まれて外のテーブルで早くもビールを楽しんでおり、賑やかである。
店に入ると、大きな銅のタンクがお出迎え。ピカピカに磨かれたそれは、店の誇りと情熱を物語っているようだ。
そして、内装も素晴らしい。
レンガ色のような壁に、しっかりとコントラストを引き締める黒の木の柱や梁。
アンティークなランプや、昔のドレスデンを写したものだろうか、モノクロの写真が壁いっぱいに飾られていて、実に落ち着ける空間となっている。
席に着くと同時に、まずはビールを注文。
せっかくなので、ドイツらしくマースジョッキ(1リットル)で飲んでみよう。もちろん、店で醸造されたオリジナルビールがオススメ。
料理はドイツ全般で食べられるものの他、ザクセン地方特有の料理もある。
美味しいと噂の「Schweinshaxe(シュヴァインスハクセ)」を注文すると、巨大な豚のスネ肉をグリルしたものがどーんと運ばれてきた。ナイフが突き刺さっており、まさに野性味溢れる男の食事!
しかし、見た目は驚くが味は最高。外はパリッ。ほろほろ取れるジューシーな肉の旨味が口の中に広がり、あっという間に食べてしまった。
さて、このビアレストランには珍しいものがある。
案内されて2階に上がると、なんとそこには広いボールルームが。ボールルーム付きなんて洒落たビアレストランだが、今でもここでダンスのイベントやコンサートが行われているという。
ビールだけではなく、ザクセンの人たちは優雅な時間を楽しんでいるようだ。さすがはバロックの街並みが美しい古都である。
(田原昌)