高さ7メートル幅30メートルの滝、と書くと縦と横のサイズが逆のように思われるかもしれないが、「天然記念物及び名勝」に指定されている群馬県沼田市にある「吹割(ふきわれ)の滝」である。
「日本の滝100選」にも選ばれている吹割の滝は、凝灰岩・花崗岩の川床上を流れる片品川の清流が、岩質の軟らかい部分を浸蝕し多数の割れ目を生じ、巨大な岩が吹き割れたように見えるところから名付けられ、規模は違うもののその姿から東洋のナイアガラとも呼ばれる。
滝周辺の散策は、渓谷沿いに周遊できる2キロほどの遊歩道があり1時間程度で戻ってくることができる。
柵のない川沿いの遊歩道を進むとやがて轟々と音を立てて水が岩の割れ目から落ちてゆく吹割の滝に到着する。
遊歩道から川のすぐ近くの広い部分に移動できるが、景観を守るためここにも柵がなくロープが張ってあるだけなので足元には十分注意して見学しよう。
吹割の滝の滝つぼは竜宮へ通じているとの伝説が残るのも頷ける神秘的な滝に、時間が経つのも忘れそう。
「獅子岩」、「般若岩」などと呼ばれる迫力のある岩壁群を川向うに見ながら進むと「鱒飛の滝」。
反対に上流に進むと浮島橋を渡って「浮島観音堂」のある「浮島」に到着する。
観音堂の堂内には、日光東照宮の「眠り猫」や各地で数々の彫刻を完成させた名匠・左甚五郎作と伝わる「浮島如意輪観音」が安置されている。
「吹割橋」を渡ると対岸の山中の「詩のこみち」へと続く。時間があれば先に進んで上からの景色も楽しみたい。「詩のこみち」からは滝が望める観瀑台が3か所あり、吹割の滝の全貌を観ることができる。
アクセスは関越自動車道沼田インター下車、国道120号線を尾瀬方面へ直進約20分。電車の場合はJR上越線沼田駅からバスでおよそ40分。
山の上から落ちる「滝」という趣きとは一風変わった吹割の滝。この夏、間近で聞く轟音と水の勢いに吸い寄せられるような体験を味わいに出かけてみては。
住所:群馬県沼田市利根町追貝
(小椚萌香)