近頃「Lucky Cat」として世界中で愛されている「招き猫」。東京には「招き猫発祥の地」として、江戸の頃から著名な豪徳寺と今戸神社が存在する。
今回訪れたのはそのひとつ、世田谷区にある「豪徳寺(ごうとくじ)」だ。
ここは昨年の大河に登場した井伊家の菩提寺であり、徳川家康を支えたひとり、井伊直政(いいなおまさ)の後嗣、直孝(なおたか)の法号から「豪徳寺」となった寺である。また「桜田門外の変」で有名な井伊直弼(なおすけ)の墓もここにある。
大老ともなった井伊家の菩提寺だけあって、とても広くまさに名刹。三重の塔もそびえており、建築史学上重要な建物である仏殿は巨大だ。
注目して欲しいのは、三重の塔。残念ながら近くで見る事は出来ないのだが、屋根の下に十二支と共に招き猫の彫刻が鎮座している。三重の塔に招き猫というのは非常に珍しい。
三重の塔の正面にあるのが「招福殿」。門をくぐるとすぐに、招き猫たちが見えた。ここにいる招き猫たちは、願いが叶ったお礼に置いてあるもの。
所狭しと並んでいる、大小の白い招き猫たち。いやはや、これは壮観だ。
海外でも有名だというこの寺、確かに多くの外国人客がカメラを片手に歓声を上げている。猫が可愛くて大好きというのは、世界中どこでも共通なのだ。
この寺が招き猫発祥の地となったのは、井伊直孝がこの寺の猫に招かれ、災いを避けた事による。ゆるキャラとして大人気の「ひこにゃん」が直政の兜を被った猫なのも、関係があるのだろう。
豪徳寺ではこの招き猫を「招福猫児(まねきねこ)」と称している。
大小様々なサイズがあるので、是非手に入れて持ち帰りたい。可愛らしい右手が、福を招いてくれるだろう。
(田原昌)