必要最低限のモノのみを所有し、ローンを抱えず小さな家に住む「タイニーハウスムーブメント」。
それは、2008年のリーマンショックを機にアメリカで広まった。その多くは自動車で牽引することができる動産(トレーラータイプ)をベースとした住宅のことだ。
日本でも東日本大震災をきっかけに「小さな暮らし」の潮流として、住み方や働き方を見直そうという動きが始まっており、シンプルに生きる手段の一つとして国内でもタイニーハウスが注目を集めつつある。
また、沿線高架下の活用は、街作りにおいても注目されるところ。
今回、世界中のタイニーハウスなどの運営を手がける「YADOKARI」が、京急電鉄と共に沿線高架下の活性化の一環として、動産・タイニーハウスを活用した日本初の「高架下タイニーハウスホステル」を2018年春頃にオープンする。
■未利用地の有効活用と賑わいの創出
「高架下タイニーハウスホステル」は、沿線高架下の敷地約495平米に移動可能な動産・タイ二ーハウスを活用し、ホステル宿泊の他に、カフェラウンジ、水上アクティビティー拠点などの機能をもつ複合施設となる。
カフェラウンジは、ホステル宿泊者だけではなく街に開かれたパブリックなコミュニティスペースとしても解放し、各種イベント、マルシェ、ワークショップなどを定期的に開催し、地元住民や自治体と連携しながら界隈性の生まれる施設運営を目指す。
また桜の名所でもある大岡川に面した立地を生かし、近年世界中で人気が高まっているSUP (Stand Up Paddleboard)などの水上アクティビティーを楽しめる施設も併設。
「宿泊×コミュニティスペース×アクティビティー」の相乗効果で、横浜駅、桜木町、野毛などの人気エリア近接の好立地と、大岡川に面した情景豊かな環境を生かし、地元企業や居住者との交流ができるコミュニティハブとしての企画・運営を目指し、街の活性化に携わっていく。
■アートによるまちの再生
横浜市は歴史的建造物・倉庫・民間ビル等の活用とあわせ、市民がアーティスト・クリエーターの活動と触れ合うことで、日常的な都市空間が全く異なる魅力を持つことを発見するだけでなく、都市の抱える様々な問題に対して市民自らが創造性を発揮し解決に向けて行動していく可能性を見出してきた。
こういった背景も受けて本施設もアーティスト・クリエーターにとどまらず、すべての市民が創造的な表現活動の実践者となる機会と文化交流の接点となるような施設、場創りを目指していく。
移動可能な動産と高架下の有効活用。これからの暮らしや街作りの未来が、見えてくるかもしれない。
「YADOKARI×京急電鉄 高架下タイニーハウスホステル」特設サイト
http://keikyu-tinyhousehostel.yadokari.net/
(田原昌)