「非正規4割」の衝撃! 拡大する格差社会。渾身のルポルタージュ

年々増えている非正規雇用。正社員で採用されたとしても、いつ非正規になるか分からない時代。

安倍政権が誕生した2012年から4年間で、役員を除く雇用者数は230万人増えたが、実に9割がパートやアルバイト、派遣社員といった非正規労働者の増加分だ。

2016年から2017年にかけて朝日新聞紙面に掲載された非正規労働に関する記事を大幅に加筆した『非正規クライシス』が、朝日新聞出版から発売された。

2003年に初めて3割台となった非正規労働者の割合は、2016年には37.5%まで上昇し過去最高が続いている。

2016年、非正規労働者数ははじめて2千万人を突破。年収200万円以下の働き手も2割台半ばを占めるようになり、ワーキングプア(働く貧困層)の問題は依然として深刻になっている。

本書では、「売り手市場」といわれる新卒の就職戦線の裏で、非正規から抜け出せずに苦しむ40代の現実を徹底取材。少子化や税収減、景気回復の鈍化など、働き盛りであるはずの40代の非正規化が、いかに日本経済のマイナス要因になっているかも解説している。

3年ごとに職場を転々とする派遣労働者、図書館や保育所で働く非正規公務員の実態、増え続ける非正規シニア、2017年9月に判決が出た日本郵便裁判の最新事例など、「非正規」にまつわるさまざまな問題を朝日新聞の3人の記者が総力取材。

ビジネスマンにとっては、「この国の危機」を知るための必読書だ。ぜひ手に取ってほしい。

(Takako.S)

『非正規クライシス』
著 者:北川慧一、古賀大己、澤路毅彦
発 売:2017年11月20日
定 価:1,404円(税込)
発 行:朝日新聞出版
https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=19515