石川・金沢市で工芸品などの販売を手がける箔一は、伝統的な金沢箔を用いた扇子シリーズ「墨美シリーズ」の新作2種を発表した。同時に金箔の色彩美をテーマにした「彩美シリーズ」より新柄1種も発売する。
日本美術史に名を刻む絵師、長谷川等伯と俵屋宗達の技法に着想を得た扇子は、伝統と趣を感じる一品となっている。

長谷川等伯と俵屋宗達にオマージュした逸品
箔一が長年提案してきた「金沢箔扇子」は、屏風や掛け軸に見られる日本の伝統美術における金箔表現を、扇面に落とし込んだ工芸品。金箔の繊細な煌めきと、日常使いの道具である扇が融合することで、身近に“美”を楽しむ新たなかたちを生み出してきた。
扇骨に用いる竹や扇面の和紙など、すべての素材は国内で丁寧に加工され、熟練の職人が一点一点、手仕事で仕上げているのも特徴だ。
「墨美シリーズ」では、桃山・江戸初期を代表する絵師、長谷川等伯と俵屋宗達の作品に敬意を表し、水墨表現と金箔が調和する扇子を展開する。また、金箔の持つ豊かな色彩に注目した「彩美シリーズ」にも、新たに1種加わる。

扇子で「水墨画」の美と芸術を手元で愛でる
中国から伝わり、日本で独自の発展を遂げた「水墨画」。にじみ・ぼかし・かすれといった技法を駆使して、単色の世界に深い情緒を宿すこの画風は、禅の思想とも呼応し、日本美術の精神性を象徴する。
この扇子は、武家文化のなかで育まれた長谷川等伯と、京都の町衆文化に根ざした俵屋宗達の技法を手がかりに、水墨表現と金箔の美を現代の暮らしに取り入れたもの。
禅が重んじた「静」と「空(くう)」を感じさせる墨の濃淡や余白の美、そして扇面に散りばめられた金箔の煌めきが、静けさの中に凛とした華やぎを添える。
手に取った瞬間から使うほどに深まる美と芸術の世界を、存分に堪能してみるのも一興だろう。
長谷川等伯の「ぼかし」と俵屋宗達の「たらしこみ」
石川県七尾市に生まれた長谷川等伯。その代表作『松林図屏風』に見られるように、墨の濃淡を巧みに操る「ぼかし」の技法は、余白に広がる静けさや奥行きを生み出し、日本美術史においても特別な存在感を放つ。

この扇子は、そうした等伯の表現を現代に映したもの。幽玄の美を感じる底知れない奥深さが表現されている。
琳派の創始者として知られる俵屋宗達の代表的な技法「たらしこみ」は、墨が乾ききる前に濃度の異なる墨を重ね、紙の上に偶然性と計算が交錯する独自の表情を生み出すものだ。

墨のにじみが織りなす形や濃淡には意図を超えた美が宿り、一点一点が唯一無二の風情を纏う。
どちらも職人による手作業で一つひとつが丁寧に生み出されており、技法は同じではあるものの、手元に届いた扇子はそれぞれ異なる表情を見せる。
世界に一つだけの扇子を手元に、日本の伝統的な技法と芸術的な“美”を味わってみてはいかがだろうか。
金沢箔扇子
種類:墨美 等伯tohaku/墨美 宗達sotatsu/彩美 白茶shiracha
サイズ:W220×D25×H10mm
素材:和紙、竹、本金箔、アルミ箔
価格:16,500円(税込)
販売場所:箔一各直営店舗、および公式オンラインショップ
公式オンラインショップ「HAKUICHI STYLE」:https://hakuichi.jp/products/list.php?category_id=91
PR TIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000008.000151099.html
(みくと)