手塚治虫さんが晩年まで取り組み続けた、ゲーテの古典『ファウスト』に基づく作品『百物語』と『ネオ・ファウスト』。この2作が6月下旬に、初の“オリジナル版”として復刊ドットコムから単行本化される。
2作それぞれの単行本に加え、特製収納ボックスと複製原画もセットになった500部限定の豪華な品に仕上がっているので、手塚さんファンは要チェックだ。
手塚さんが愛した『百物語』と『ネオ・ファウスト』
『ファウスト』をテーマとした手塚治虫さんの挑戦は、1950年の児童漫画『ファウスト』に始まり、1971年の『百物語』、そして1988年、未完に終わった『ネオ・ファウスト』へと続く。とりわけ後者2作は、生前の手塚さんが読者に併読を勧めるほどの力作だった。
この2作がどのようなストーリーなのか知らない人も多いだろう。簡単に紹介したい。
まず『百物語』は戦国時代を舞台とした作品。お家騒動のとばっちりで切腹を命ぜられた武士が悪魔の娘に魂を売り、美男子の姿を得て別人として生き直すチャンスを得る。しかし2人は魂の見返りとして、“三つの願い”を叶えるべく共に旅に出ることに—。
この作品は1971年に連載が始まり、全4回が「週刊少年ジャンプ」に月1のペースで掲載された。
一方『ネオ・ファウスト』は、1970年代の架空の大学が舞台。自身の研究に行き詰まり命を絶とうとする科学者が悪魔メフィストと契約し、過去に戻って二週目の人生を歩み始める。
こちらは1988年に「朝日ジャーナル」誌上で連載されたが、残念ながら手塚さんの死去により未完に終わった作品だ。
B5サイズで2つの名作が現代に蘇る
『百物語』と『ネオ・ファウスト』はこれまでも単行本化されてきた。
しかしその際に構成が見直され、各話の扉ページに修正がかかった他、セリフ回しやページ割りにも調整が加えられている。つまりは初出の漫画を読むためには、連載されていた雑誌を手に入れる必要があった。
今回復刊ドットコムは、そんな『百物語』と『ネオ・ファウスト』を初出の原稿通りに忠実に再現。
手塚プロダクションに保管されていた生原稿を再スキャンし、B5判で鮮明に印刷。これまでとは異なる迫力のある単行本を作り上げた。
また、巻末には手塚さん本人のスケッチやあとがき、作品の周辺資料を収録。加えて、ドイツ文学研究者の酒寄進一教授による、世界の『ファウスト』史を踏まえた解説も掲載されている。より作品への知見を深めたい人はこちらも読み込んでほしい。
手塚治虫さんが生涯をかけて描き続けた“魂の取引”の物語を、今こそ“オリジナル版”で味わってみては。
手塚治虫のファウスト 『百物語』と『ネオ・ファウスト』 《オリジナル版》
著者:手塚治虫
価格:16,500円(税込)
発売・配送時期:6月下旬
判型:B5
頁数:232頁(百物語)+420頁(ネオ・ファウスト)
商品ページ:https://www.fukkan.com/fk/CartSearchDetail?i_no=68337954
PR TIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000014.000068912.html
(IKKI)
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