ジュネーヴ⼤劇場で公演中のオペラ『イドメネオ』、日本人ファッションデザイナー中⾥唯⾺氏が⾐装を担当

ファッションブランド「YUIMA NAKAZATO(ユイマ・ナカザト)」のクリエイティブ・ディレクター、中里唯馬氏は、モーツァルトのオペラ『イドメネオ』新制作で衣装を手がけた。同作品には日本人現代アーティストの塩田千春氏も参加しており、日本人としては注目しておきたい作品となっている。

そして同作品は2月21日(水)にスイスのジュネーヴ大劇場にて世界初演を迎えた。

作品の詳細と中里氏のデザインについて紹介したい。

日本人が衣装と舞台芸術で参加するオペラ『イドメネオ』

古代ギリシャを舞台に繰り広げられた戦争の苦しみと、敵味方を超えた愛を描いたモーツァルトによる古典『イドメネオ』。現在公演中の新バージョンでは「ジュネーヴ大劇場」のバレエ部門監督・振付家のシディ・ラルビ・シェルカウイ氏が演出を担当、舞台芸術を塩田千春氏が担当した。中里氏は自身のブランドのスタイルを投影させた、総勢200体以上の衣装デザインを制作した。

劇場総監督も日本独特の雰囲気に期待

「ジュネーブ大劇場」の総監督 アビエル・カーン氏は「日本人ビジュアルアーティストの塩田千春の舞台芸術と、ユニークなアプローチとビジョンを持った中里唯馬のデザインをプロジェクトに迎えられることを嬉しく思います。モーツァルトの『イドメネオ』の新演出は、まさに日本独特の雰囲気を示すものになるでしょう」と、同作品が日本的な雰囲気を醸し出すことに期待を込めたコメントをしている。

中里氏の美学を融合し、塩田氏の世界観と連動する衣装

制作に先立ち、中里氏は作品の舞台となったエーゲ海のクレタ島を実際に訪れた。現地では遺跡や自然、出土した実際の甲冑などの資料を通して、作品に対してのより深い知識と独自のインスピレーションを培ったという。

また、中里氏はシェルカウイ氏と共に『イドメネオ』解釈とユイマナカザトの美学を融合させる衣装を構想。1年以上にわたってプランニングを重ね、ストーリー・新解釈・コンセプト・シンボル・登場人物の心理的状態をどのように表現するかについて模索した。

同作品は塩田氏の世界観が色濃く反映されており、物語の舞台となる「海」が赤い糸で表現される。これに伴い、神官などの海との繋がりが強い登場人物については赤を基調とした服装となっている。舞台装置に登場する赤い縄についても衣装デザインに組み込まれ、塩田氏の世界観の一部ともなり、互いに強く連動する。

その他、主要人物の出身地であるクレタの人々は⻘、富と権力をもつ同盟国アルゴスの人々はシルバー、囚われの身でありながら無垢と純真を体現するトロイの人々は純白の衣装を纏うなど、人物像のさまざまな立場が鮮やかな色により象徴的に表現されている。

同作品の公演は、3月2日(土)まで6回にわたってスイス・ジュネーヴのジュネーヴ大劇場で上演された後、アムステルダムとルクセンブルクを巡回する。欧州での公演を見に行くのは難しいかもしれないが、ファッション好きやアート好きであれば注目しておきたい作品だろう。

イドメネオ
公演期間:公演中~3月2日(土)
会場:ジュネーヴ大劇場
所在地:Boulevard du Théâtre 11, CH-1204 Genève
公式サイト(英語):https://www.gtg.ch/en/2023-2024-season/idomeneo-re-di-creta/

yuimanakazato.com:https://www.yuimanakazato.com/

PR TIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000110759.html

(Mayu)