映画をこよなく愛した和田誠さんの歩みを国立映画アーカイブ「和田誠 映画の仕事」展でたどる

日本を代表するグラフィックデザイナーであり、イラストレーターであった和田誠さん。その画業は映画と切り離せない。

国立映画アーカイブでは、12月12日(火)から2024年3月24日(日)まで展覧会「和田誠 映画の仕事」を開催する。会期中はゲストを招いたトークショーや関連作品の上映も行う。

いつも映画とともにあった和田誠さん

和田誠さんにとって、映画は人生の友であり、創造の泉であったという。

中学時代にアメリカ映画に夢中になったという和田さんは、若手デザイナーとして頭角を現すや、本職のかたわら映画ポスターの制作やアニメーション映画に挑んだ。

やがてその味わいある画風は広く支持され、世界の映画人を描いたイラストレーションや、映画をめぐる著書、対談集を続々と送り出してゆく。

1984年に監督した『麻雀放浪記』は、それまで監督修業の経験がなかったにもかかわらず高い評価を得て多くの賞を受賞。

約60年間に手がけた仕事は多岐にわたり、遺した資料も膨大な量に上るが、今回は映画にテーマを絞った初の展示となる。

全5部構成で少年期から監督業までをたどる

展示は「I 映画を知った」「II 映画を描いた」「III 映画を語った」「IV 映画を集めた」「V 映画を撮った」の全5部構成。世界の映画ポスターに魅了された少年期にはじまり、まずは若手デザイナーとしての歩みを振り返る。

会場には若き日の「日活名画座」ポスターから劇場公開用・映画祭などのポスターまで、そして俳優・監督などのイラストレーションをもとに装丁を手がけた映画書が勢ぞろいする。

その知識を活かした映画談義を記憶する人も多いだろうが、展示では著者やコレクターとしての一面も掘り下げる。

集大成は映画監督としての姿だ。アニメーション『MURDER!』(1964年)で評価された和田さんは、名プロデューサー角川春樹さんとの出会いを通じて、初めての劇場用長篇映画『麻雀放浪記』を制作。

その後も『快盗ルビイ』(1988年)、『怖がる人々』(1994年)、『真夜中まで』(2001年公開)と優れた長篇作品を残した。会場には4つの監督作品で使われた音楽・主題歌のほか、和田さんが愛したアメリカ映画の名曲の数々を聴ける音楽展示コーナーも用意される。

会期中にはゲストを招いたトークイベントが開催されるほか、上映企画「NFAJコレクション 2024 冬」にて関連作品の上映を行う。

生涯にわたって「評論家」ではなく「映画ファン」を自称していたという和田さん。映画への限りない愛があふれる展覧会だ。

和田誠 映画の仕事(Makoto Wada : Works on Film)
会期:12月12日(火)~2024年3月24日(日)
会場:国立映画アーカイブ 展示室(7階)
所在地:東京都中央区京橋3-7-6
休室日:月曜日、12月26日(火)~1月4日(木)
開室時間:午前11時~午後6時30分(入室は午後6時まで)
料金:一般250円(常設展含む)、同館主催の上映会のチケット提示で割引あり
公式サイト:https://www.nfaj.go.jp/exhibition/makotowada2023/
※1月26日(金)、2月23日(金)は入室午後7時30分まで、開室午後8時まで延長

トークイベント「監督・和田誠の素顔」
日時:2024年1月20日(土)
講師:関口裕子氏(「キネマ旬報」元編集長)

トークイベント「和田誠作品の映画美術」
日時:2024年2月10日(土)
講師:小澤秀高氏(『麻雀放浪記』美術助手、『怖がる人々』美術監督)

トークイベント「企画の見どころと展示品解説」
日時:2024年3月16日(土)
講師:岡田秀則氏(国立映画アーカイブ 主任研究員)

NFAJコレクション 2024 冬 関連上映
会期:2024年1月19日(金)~2月4日(日)の金・土・日
上映作品:『麻雀放浪記』『快盗ルビイ』『怪盗ジゴマ 音楽篇』『恋の大冒険』など(予定)

PR TIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000684.000047048.html

(SAYA)