江戸末期から明治にかけて活躍し、「牡丹燈籠」「真景累ケ淵」「死神」など、多くの名作落語を創作した落語中興の祖・三遊亭圓朝（さんゆうてい えんちょう）。同氏が収集していた幽霊画が、圓朝の墓所がある全生庵（ぜんしょうあん）にて、8月1日（火）～8月31日（木）の期間、公開される。
著名な画家たちが描いたさまざまな幽霊たちを見ることができるのは、一年の中でこの1か月間だけ。8月の暑さを忘れさせてくれそうな貴重な機会だ。
左から、伊藤晴雨「怪談乳房榎図」、池田綾岡「皿屋敷」、鰭崎英朋「蚊帳の前の幽霊」。 すべて全生庵所蔵
三遊亭圓朝、遺愛の幽霊画コレクションを展示
三遊亭圓朝（1839～1900年）は幕末から明治にかけて落語界の大看板であると共に、「怪談牡丹燈籠」「真景累ヶ淵」「文七元結」などの原作者としても広く知られている。そして、今なお落語界はもとより歌舞伎をはじめ、演芸界全般に多大な影響を与え続けている。
また人格面においても、全生庵開基・山岡鉄舟の導きにより禅をよく修し、その淵源を極め、京都天竜寺の滴水禅師より「無舌居士」の号を付与され「芸禅一如」の境涯に達した人物でもある。
全生庵に所蔵している圓朝遺愛の幽霊画コレクションは、圓朝歿後その名跡を守られてきた藤浦家より寄贈された。伝円山応挙というものから、柴田是真、菊池容斎、松本楓湖、伊藤晴雨、河鍋暁斎など、幕末から明治の著名な画家達の筆による大変ユニークな幽霊画ばかりだ。
全生庵では毎年、圓朝忌の行われる8月の1か月間のみ、幽霊画約30幅を特別公開している。
明治時代から歴史を見つめ続ける「全生庵」
同庵は山岡鉄舟居士が徳川幕末 明治維新の際、国事に殉じた人々の菩提を弔うために、明治16年に建立した。
鉄舟居士は慶応4年3月、江戸城総攻撃のため官軍東征するや徳川十五代将軍 慶喜の命を受け、単身で静岡まで進軍して来た官軍の大本営に赴き、総参謀西郷南州に面接し、江戸城無血開城の道をひらき、江戸市民を戦火の災厄から救った。
落語家の三遊亭圓朝、国士の荒尾精、山田良政、岡田満、石油開発者の石坂周造、長谷川尚一、画家の松本楓湖、教育家の棚橋絢子の墓所があり、圓朝遣愛の幽霊画50幅、明治大正名筆の観音画100幅が所蔵されている。
怪談創作の参考に集められたという、圓朝ゆかりの作品を見に足を運びたい。
全生庵 幽霊画展
期間：8月1日（火）～8月31日（木）※土日祝祭日も開催
会場：全生庵
所在地：東京都台東区谷中5-4-7
開館時間：10:00～17:00（最終入場16:30）
拝観料：500円
公式サイト：https://zenshoan.com/
PR TIMES：https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000062587.html
（hachi）