横山大観から現代の作家まで。7月から「ポーラ美術館」で13年ぶりに開催する日本画の企画展を紹介

神奈川県・箱根町にある「ポーラ美術館」は、13年ぶりとなる日本画の企画展「シン・ジャパニーズ・ペインティング 革新の日本画―横山大観、杉山寧から現代の作家まで」を、7月15日(土)から12月3日(日)の期間に開催する。

近代から現代までの日本画を追究する同展の見どころなどを紹介しよう。

近代の「日本画」からこれからの「日本画」までに注目

明治政府のお雇い外国人として来日していたアーネスト・フェノロサは、当時、日本国内で目にした絵画を総じて“Japanese Painting”と呼んでいたという。そして、この英語を日本人通訳が「日本画」と翻訳したことから、明治以後に「日本画」という概念が社会的に定着していったといわれている。

同展は、近代の「日本画」をけん引した明治、大正、昭和前期の画家たちや、戦後の日本画家たちの表現方法、そして現在の「日本画」とこれからの日本の絵画を追究する多様な作家たちの実践の数々にあらためて注目し、その真髄に迫るものだ。

手法や歴史など、日本画の誕生から現代までの展開を紹介

同展では、横山大観をはじめとした同館の日本画コレクションの名品を含む、近代における日本画の誕生から現代にいたる展開を、ダイナミックに紹介する。

横山大観 《山に因む十題のうち 霊峰四趣 秋》 1940年

横山大観 《山に因む十題のうち 霊峰四趣 秋》 1940年

表現手法や材料、形式の変化

日本画の展開には、とりわけ表現手法や材料、形式の変化が重要だった。

線を用いない表現手法である「朦朧体(もうろうたい)」の発明や、伝統的な顔料でなく西洋顔料や合成顔料の使用による鮮やかな色彩の獲得、額装や軸装、屏風といったさまざまな形式の変化に注目して、明治期から現代までの日本画の革新の歴史を紐解く。

岸田劉生 《狗をひく童女》1924年

岸田劉生 《狗をひく童女》1924年

日本画と洋画はどう違う?

近代の日本画の展開は、西洋絵画の影響なしには語れない。西洋の主題や構図で描いた日本画もあれば、日本の伝統的な主題を油彩で描いた洋画もある。

材料や技法、表現手法などの探究のために、日本画家が洋画を手掛けることもあった。

同展では、明治期の高橋由一や浅井忠、大正・昭和期の岸田劉生、岡田三郎助、レオナール・フジタ(藤田嗣治)ら洋画家たちの作品もあわせて展示。それにより、近代の日本画の特質を浮き彫りにするとともに、その独特で多様な表現を紹介する。

杉山寧 《薫》1975年

杉山寧 《薫》1975年

現代の作家たちの新作も初公開

同展では、さまざまな表現様式によって日本画の革新に挑み続ける現代の作家たちの作品を、多数の新作を含め紹介。

欧米中心だったアートがグローバル化し、メディアや表現の多様化が進む現代のアートシーンの中で、今日の作家たちはどのように「日本画」と向き合い、作品を創っているのか。彼らの姿勢と創作活動、そして作品から、日本の絵画の現在地を探る。

谷保玲奈 《蒐荷》 2020年

谷保玲奈 《蒐荷》 2020年

深堀隆介 《方舟2》 2015年

深堀隆介 《方舟2》 2015年

山本基 《たゆたう庭》(制作風景)2013年

山本基 《たゆたう庭》(制作風景)2013年

「日本画」が歴史の中でどのように変遷していったのか、明治から現代までをひとつの場所で鑑賞できる素晴らしいチャンスだ。

シン・ジャパニーズ・ペインティング 革新の日本画―横山大観、杉山寧から現代の作家まで
会期:7月15日(土)〜12月3日(日)会期中無休
会場:ポーラ美術館 展示室1、2、3、アトリウムギャラリー
所在地:神奈川県足柄下郡箱根町仙石原小塚山1285
公式サイト 展覧会詳細ページ:https://www.polamuseum.or.jp/exhibition/20230715c01/

PR TIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000120.000026617.html

(田原昌)