<東京・東日暮里で開催>アーティスト・松山しげき氏の新作個展「ナルキッソスは水面を見続ける」

アーティスト・松山しげき氏の新作個展「ナルキッソスは水面を見続ける」が、4月8日(土)から23日(日)まで、東京・荒川区にある元映画館にて開催される。

主催はアート・コミュニケーションプラットフォーム「ArtSticker(アートスティッカー)」。出展作品は4月8日(土)より「ArtSticker」から販売されるので、遠方に住む人は直接こちらをチェックしたい。

ダズル迷彩を用いて作品を描くアーティスト・松山しげき氏

松山氏は第一次大戦の頃使用されたダズル迷彩を用いた作品で、いま国内外から注目を集めるアーティスト。

これまでの制作では、インターネット上にアップロードされている無数のセルフィーやスナップなどの顔写真から、ビデオプロジェクターを使い「目」だけを正確にトレース。

肖像の輪郭はモデルとした実際の人物から、人種や性別、髪型、体型などをまったく別の人間に描き変えることで、インターネットの匿名性や情報の不確かさを表現した「現代人の肖像画」を発表してきた。

参考作品 Shigeki Matsuyama《Image: iGen sees the world in 2D #02》

参考作品 Shigeki Matsuyama《Image: iGen sees the world in 2D #02》

今回開催される個展「ナルキッソスは水面を見続ける」では、松山氏の代表シリーズである、SNSなどにアップロードされている無数のセルフィーやスナップ写真をモデルとした肖像画「Portrait of dazzle」を始め、新作の絵画シリーズ、さらに新作の彫刻を披露する。

参考作品 Shigeki Matsuyama《Portrait of dazzle #194》

参考作品 Shigeki Matsuyama《Portrait of dazzle #194》

出展作品は「ArtSticker」限定で、4月8日(土)13時より「エントリー制」と「先着制」の異なる形式で販売。出展作品の情報は4月7日(金)20時頃に公開予定だ。

ナルキッソスと現代人の共通点とは

ギリシャ神話に登場する青年ナルキッソスは、水面に映る自分の姿があまりに美しいため目を離せなくなり、最後には命を落としてしまう。

ナルキッソスが夢中になる「水面に映る自分の姿」とは、目では見えるが手では触れられない、実体のない情報だけの存在だ。

神話の中でナルキッソスが水面に映る自分から目が離せなくなってしまうのは女神ネメシスによる呪いのせいだが、現代に生きる人々もまたこの呪いのように、スマートフォンの画面に映る大量の情報に夢中になり、時には生活に支障をきたすほどに時間を浪費している。

特にここ数年は外出自粛や在宅勤務の影響により、世界中でアプリの使用時間が大幅に増加している。

スマートフォンを見ているからといって命を落とすわけではない。しかし、長いこと水面から目を離せずに結局そのまま死んでしまったナルキッソスの物語も、現代人のスマートフォンの使用時間を考えるとあながち関係ない話でもないのかもしれない。

だとすれば、いったいどうしたら水面に夢中になっているナルキッソスの顔を上げることができるのだろうか。彼が水面を見続けるのは呪いの力なので、自らこれに抗うのは到底不可能。

他者が何をしようとも、彼の目の前に水面がある限り結局ナルキッソスは水面を見続けるのかもしれない。

今回の個展「ナルキッソスは水面を見続ける」からも、アーティスト・松山氏からの奥深いメッセージ性が感じられる。

Shigeki Matsuyama 「ナルキッソスは水面を見続ける」
会期:4月8日(土)~23日(日)
開廊時間:13時~19時
会場:元映画館
所在地:東京都荒川区東日暮里3丁目31-18 旭ビル2F
観覧料:無料
公式ページ:https://artsticker.app/events/3671

PR TIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000081.000038948.html

(IKKI)