隈研吾氏の設計による、日本初のゼロエネルギーホテル「ITOMACHI HOTEL 0(いとまちホテルゼロ)」が今年5月、愛媛県西条市に開業する。
再生可能エネルギーでエネルギーの自給自足を行う、「いとまち」の敷地内に建設されるホテルだ。
エネルギーの自給自足を行う街
同ホテルは、西条の新たな賑わい創出を目指し2020年に開業した「いとまち」の敷地内に開業。
同地区は、再生可能エネルギーでエネルギーの自給自足を行っており、また、災害発生時の防災拠点としての機能も併せ持つ。
西条に新たな活気を生み出すと共に、エネルギーの地産地消などに向けた取り組みなども行う「いとまち」は、持続可能な社会を実現するテクノロジーとヒト・モノ・コトの交流が生み出す、新たな地方創生の形といえる。
そして「エネルギー・テクノロジー・グリーンインフラ・食・建築」をテーマに進化を続ける同地区は、ホテル開業以降も、温浴施設、和食レストラン、住宅街区など、続々と新たな施設がオープン予定。
そんな街に開業する同ホテルは、街全体を楽しむ「まち泊」を提供するホテルとして、訪れる西条内外のヒト・モノ・コトの交流と賑わいを牽引し、西条の関係人口拡大に寄与することを目指す。
脱炭素社会に取り組むホテル
同ホテルは、実質的に電力エネルギーを消費しない運営を行う「ゼロエネルギーホテル」だ。
日本国内のホテルで初めて、環境省が定める最高ランクの「ZEB」*の認証を取得。建物に省エネルギーと創エネルギーの機能を同時に備えることで、実質的な電力消費0を可能としている。
建物用途別のエネルギー消費量において、ホテルは床面積あたりの電力使用量が飲食店に次いで2番目に高くなっているという。このことからも、ホテルの電力使用量を実質0にすることは、脱炭素社会を加速させる大きな可能性を秘めている。
日本を代表する建築家・隈研吾氏が設計
同ホテルは、新国立競技場など数多くの世界的建築を手掛けた日本を代表する建築家、隈研吾氏が設計。
西条市の風景からインスピレーションを得た建築は、ホテル各棟をまたいでつながる大屋根に西条市のシンボルである石鎚山の山並みを表現するなど、西条ののびやかな自然と建築の洗練を感じる佇まいとなっている。
開業の地は「水の都」愛媛県西条市
愛媛県西条市は、北に瀬戸内海、南に西日本最高峰の石鎚山を有し、名水百選にも選ばれた「うちぬき」と呼ばれる自噴水が街中に湧き出る水の都。美しい水・海・山・まちが揃った暮らしやすい田舎として、注目を集めている。
同ホテルでは、自然環境に負荷をかけることなく人の楽しみを創り出す、これからの時代の持続可能な観光及び宿泊体験ができそうだ。
ITOMACHI HOTEL 0
所在地 :愛媛県西条市朔日市字兵衛田250番7
開業:5月(予定)
公式サイト:https://itomachihotel-0.com/
(田原昌)
* 「ZEB」とは、Net Zero Energy Building(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の略称で、快適な室内環境を実現しながら、建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物のこと