新潮社は12月23日(金)、『芸術新潮』1月号を発売した。今号では、アートを切り口とした映画の特集が組まれた。
巻頭では新春の話題作『レジェンド&バタフライ』で時代劇映画初出演を果たした市川染五郎さんに、撮りおろし&インタビューで迫る。
市川染五郎さんの心に残る3本の映画とは?
『芸術新潮』1月号は「愛でたい映画 映画とアートをつなぐシネガイド2023」と称し、はじめての映画特集を組んだ。
その巻頭を飾るのは、1月公開の『レジェンド&バタフライ』で時代劇映画初出演を果たし、木村拓哉さん演じる織田信長の側近・森蘭丸役をつとめた、市川染五郎さん。
インタビューでは、信長に忠義を尽くし、本能寺の変で散った美少年という役どころにどのようにアプローチしたか、初共演となった木村拓哉さんとの撮影時のエピソードなど、出演作について追求。さらに、染五郎さんが好きな映画についても話が及んだという。
心に残る作品として挙げられた3本の映画は、制作年も監督もさまざまながら、どこか共通した世界観を持つ有名作。役者としての野望や、歌舞伎役者としての心構えも伝わるチョイスとなっているそうだ。
染五郎さんのあらたな面に触れられる誌面に期待してほしい。
歌舞伎座初主演を務めた市川染五郎さん
染五郎さんは、2005年東京都生まれの歌舞伎役者。十代目松本幸四郎さんの長男で、祖父は二代目松本白鸚さん。2018年に八代目市川染五郎を襲名し、2021年にはアニメ映画『サイダーのように言葉が湧き上がる』で声優初挑戦など、幅広いジャンルで活躍している。2022年6月には『信康』で歌舞伎座初主演を務めた。
73年の歴史ではじめての映画特集
映画評や監督のインタビュー、ポスターに映画美術などを通して、『芸術新潮』は何度も映画をとりあげてきた。しかし、同誌の73年の歴史の中で、映画の巻頭特集を組むのははじめてのこととなる。
アートを切り口とした今回の特集では、画家の伝記映画や作中に登場するアート、さらには映画館建築にパンフレットに至るまで、さまざまな角度から映画の愉しみ方を紹介。
注目のページは「アーティストが選んだ映画アンケート」だろう。映画の紹介人となるのは、フィリップ・ワイズベッカーさん、齋藤芽生さん、桑久保徹さん、野口里佳さん、藤原麻里菜さん、鷹野隆大さん、風間サチコさん、ミヤギフトシさんの8名だ。
巻頭で染五郎さんが3本の映画について述べたのと同じく、こちらのページでもそれぞれ自由に設定したテーマのもと、3本の映画を選んだ。驚くことに1本も重複せず、そして、『カルメン故郷に帰る』『道』『張込み』など、1950年代の映画が意外にも多かったそうだ。
どこかそれぞれの作品世界とも通じるような、独自の視点が感じられる映画とエッセイが揃った同誌。映画好きは必見だ。
『芸術新潮』2023年1月号
定価:1,500円(税込)
体裁:A4変型、無線とじ
新潮社 販売ページ:https://www.shinchosha.co.jp/geishin/
(IKKI)