頼朝公像プロジェクト委員会は、11月23日(水)に、源頼朝の手植えと伝わる「頼朝杉」で制作された源頼朝像を1日限定で特別公開。頼朝ゆかりの地を代表して伊豆の国・伊豆・三島の3市長らが参加、約450名が来場した。
頼朝像は、12月7日(水)~12月9日(金)に、東京ビッグサイトで開催される「エコプロ2022」の“森と木で拓くSDGsゾーン”F-02にて展示され、来春には鶴岡八幡宮に奉納される予定だ。
像の背面、厨子の中まで特別公開
頼朝像は、背面も細部にいたるまで有職故実に則って表現。像と同じ頼朝杉で制作された厨子には、正面と両脇の扉の内側に截金(きりかね)細工が施され、伊豆に流された頼朝が政子と韮山から眺めたであろう伊豆の風景が描かれている。
来場者は、「頼朝公が本当にそこにいるかのようなお姿。息をしているようで鳥肌がたった」「貴重な頼朝杉の歴史を像として残し、未来の人へ伝えていくことは夢のあることだ」と口々に感想を語っていた。
頼朝像制作に込められた願い
像の制作者である仏師・江里康慧氏は、「単なる肖像ではなく、神像として彫らせてもらった。頂点を極めた頼朝の勇気と希望を感じてもらいたい」と語る。
また、委員会事務局長を務める前井宏之氏は、「頼朝公の功績と、日本の文化や芸術、技術のすごさを世界中に知ってもらいたい」と像の存在に期待を込めて述べる。
源頼朝の手植えと伝わる「頼朝杉」
「頼朝杉」は、静岡県島田市の千葉山智満寺の境内で、10年前に空洞化が進み自然倒木した元国指定天然記念物。
推定樹齢は800年。源頼朝が挙兵前に天下治平の大願成就を祈念して植えたと伝承される、樹高約36mにもおよぶ大杉だった。
樹高の三分の一ほどが空洞になっていたが豪雨に耐えかね、根元から南側の急斜面に向かって倒木。本来なら傍らの薬師堂を直撃しても不思議でない位置にありながら、なぜか避けるように倒木したという。
頼朝杉に宿る「木魂(こだま)」を永遠に
「頼朝杉」は、樹木としてはもう存在しない。しかし「800年生きた樹木は、新たに800年の生命を持つ」という言葉の通り、源頼朝の像に姿を変え現代に蘇った。
頼朝が「武家政権樹立」「天下治平」を目指し、歴史に刻んだチャレンジ精神、諦めない心が「頼朝杉」に宿っていると、頼朝公像プロジェクト委員会は考え、特別公開当日は像の端材・残材で製作されたチャーム・ブレスレット・御朱印帳を展示販売。
購入者からは「頼朝杉を頼朝と共有している感じでとてもうれしい」「形に残ってわたしたちに寄り添ってくれている気がする」と好評を博した。
鶴岡八幡宮に奉納予定。頼朝像の今後の予定
像と厨子は、「エコプロ2022」にて展示後、来春には頼朝ゆかりの鎌倉市・鶴岡八幡宮へ奉納予定だ。
大河ドラマ『鎌倉殿の13人』のヒットで、さらなる脚光を浴びた源頼朝。その精神が宿る「頼朝杉」で制作した頼朝像。歴史ファンなら必見だろう。
頼朝公像プロジェクト委員会
プロジェクト詳細ページ:https://meiboku-souken.co.jp/yoritomo-sugi-project/
(高野晃彰)