1955年創業の酒造所、八重泉酒造が展開する泡盛・古酒(クース)ブランド「ZAKIMI(ザキミ)」から、30年熟成の古酒「台風」をリリース。
開発パートナーにデザイナーの原研哉氏を迎え、石垣島の風土の賜物として表現した。
台風が刻むビンテージ、泡盛30年古酒
石垣島の風土の中で熟成させた泡盛・古酒ブランド「ZAKIMI」。今年8月の誕生以来、8年熟成の古酒「ゆく」、10年熟成の古酒と10年樽貯蔵酒をブレンドした「顔」を販売している。
そして11月、このシリーズに30年ものの古酒「台風」が、今年の台風12号によって完成し、ラインナップに加わった。
「ZAKIMI 台風」は、無数の台風が通過する石垣島で、30年間眠り続けてきた熟成古酒を使用。台風は、水と空気を攪拌して通り過ぎる自然の摂理で、こうした南国の自然に抱かれて眠り続けることで、円熟味とまろやかさを帯びた至高の泡盛ができあがる。
「台風」は、仕上げの割り水として、その年に石垣島に到来した「台風の雨水」を浄化して使用しているのが特長だ。まさに台風に眠り、台風で目覚めた古酒中の古酒といえる。
30年という歳月と、その年に到来した台風によって完成される古酒のストーリー。それは、デザイナー・原研哉氏が石垣島の風土に着想を得て、八重泉社長・座喜味盛行氏と協議を重ねながら実現したものである。
世界の銘酒に勝るとも劣らない新しい泡盛
泡盛は沖縄地方特有の黒麹菌の作用によって、長く寝かせることで刺激香が消え、ほんのりとした甘味へと変わっていく酒だ。黒麹菌は、酸度の高いクエン酸を生成するために雑菌に強いという性質を持っており、ウイスキーやブランデーとは異なり、蒸留後も時とともに甘味が備わっていくのは、この特殊な黒麹の作用と言われている。
酒味は綺麗なクリア。ジューシーな果実やじっくり炊き上げた米の甘みを感じる香りだ。まろやかな舌触りで豊かな甘味を伝え、最後はキレを感じさせる酒に仕上がっている。
酒のラベルには、気鋭の書家、鎌村和貴氏による「台風の情景」を主題とした書を大きく配し、八重山諸島の自然の勢いを体現。「台風」を収める箱は無垢のウォールナットをくり抜いた作りに。
歳月を経た古酒を内蔵する木の塊から酒瓶を取り出す時の胸の高鳴り、封緘紙を切るひそやかな儀式性など、特別な酒を飲むときの過程をデザインに織り込んでいる。ボトルの封かんには年号と台風の号数を手漉き和紙に記し、台風によるビンテージを刻んでいる。
普段に飲む通常の泡盛とは異なり、世界の銘酒に勝るとも劣らない至高のスピリッツとして、これまでにない風姿となった新しい泡盛の味わいに期待したい。
ZAKIMI:https://zakimi.yaesen.com/
八重泉:https://yaesen.com/
(akihiro takeji)