陶器や磁器などを修復する日本の伝統的な技法である「金継ぎ」。
11月21日(月)〜25日(金)の期間、日本バチカン国交樹立80周年事業の一環として、漆芸修復師の清川廣樹氏がバチカンとローマ、ベネチアにて、金継ぎを紹介するデモンストレーションと講演を実施する。
サステナブルな修復技法「金継ぎ」に注目が集まる
「金継ぎ」は、破損した器に新しい美意識や価値を持たせるだけでなく、大切な器をまた日常に戻すことができる漆芸修復の技法だ。
室町時代の茶の湯文化の中で誕生したと言われており、「金継ぎ」で修復された器は、100年以上にわたりその形を保てるだけの耐久性を手に入れられる。
今、そうしたサステナビリティな面が注目され、「金継ぎ」は日本国内だけでなく、アジアや欧米各国でブームを巻き起こしている。
バチカン・イタリアの3都市で「金継ぎ」を実演
今回、そんな「金継ぎ」の魅力を広く伝えるため、在バチカン日本国大使館が主催となり、バチカン・イタリアの3都市でデモンストレーションと講演を開催。
11月21日(月)にベネディクト16世ホール(バチカン市国)、翌22日(火)にはローマ日本文化会館(イタリア)、24日(木)・25日(金)にはベネチア東洋美術館(イタリア)でもイベントを実施予定だ。
デモンストレーションでは、日本の文化財修復の第一人者である清川廣樹氏が、金継ぎのプロセスを映像を交えつつ実演して紹介。さらに、金継ぎに欠かせない日本の漆、その歴史と特徴や、金継ぎの奥深い魅力について講演する。
卓越した技術を持つ漆芸修復師・清川廣樹氏
清川氏は江戸時代に確立した漆芸修復の技法を今に伝える数少ない職人の1人だ。
清川氏は47年間、江戸時代に確立された伝統技法の継承者として漆を用いた「漆芸」修復に携わっており、その対象は文化財、神社仏閣、仏像、陶磁器、漆器、古美術品など多岐にわたる。その経歴や技術力もあり、学術関係者からの信頼も厚い。
そんな清川氏は、2015年から広く一般に伝統技法を伝えるため、漆芸修復の1つである「金継ぎ」にフォーカス。現在は京都・東京で自然素材のみを使用した古典的な金継ぎを教える教室兼工房を構えている。
2018年のテレビ東京や、2021年のイギリス公共放送BBCで特集されたことを機に、国内外で活動が広く紹介され、今回のバチカン・イタリア招聘にも繋がった。
日本の伝統技法「金継ぎ」が世界に浸透する日も遠くなさそうだ。
KINTSUGI DEMONSTRATION
バチカン市国
会場:ベネディクト16世ホール
日時:11月21日(月)18:00〜
イタリア・ローマ
会場:ローマ日本文化会館
日時:11月22日(火)17:00〜
備考:入場無料
イタリア・ベネチア
会場:国立ベネチア東洋美術館
日時:11月24日(木)15:00〜、11月25日(金)15:00〜
※美術館入館者は追加料金不要
※表記の日時は現地時間
※上記は予定であり、諸事情により日時・会場が予告なく変更になる場合がある
※ベネディクト16世ホールでのイベントは要予約
※詳細と最新情報は、漆芸舎 公式WEBサイト(https://www.heiando-kyoto.com/)より確認
(IKKI)