架空の生命体をグルーガンアートで表現する注目のアーティスト・麟太郎氏。東京・渋谷にあるYUGEN Galleryは、音美衣杜と合同で麟太郎氏の個展「憧想生命」を11月26日(土)から12月1日(木)に開催する。
生命の概念を探求する造形作家・麟太郎氏の個展「憧想生命」
造形作家の麟太郎氏は、幼少期より特撮作品に登場する怪獣たちや、動物型メカ「ゾイド」といった架空の生命体の玩具で遊ぶ中で、自分だけの架空の生命体を作れないかと想いを馳せてきた。
そんな麟太郎氏が制作しているのは、グルーガン(熱可塑性樹脂)を素材としたグルーガンアート作品だ。自身の想像をすぐに形にしたい彼にとって、どんな凹凸面のもの同士でも接着でき、すぐに固結するグルーガンは、まさに打って付けの素材だったといえる。
生命体を形作るさまざまなパーツを制作したうえで、それらを可能な限り即興的に組み合わせ、彼は自身のイメージと憧憬を反映させた架空の生命体を創造しているのだ。
そうして架空の生命体のシルエットを追求し、その生命力を表現するうちに、麟太郎氏は自然そのものが宿す神秘の力に気付き、それに対して畏怖の念を強く抱くようになった。その結果として、近年の彼の作品には自然とは逆行する消費社会への警告が反映されている。
代表的作品のひとつ「黄金の茶室」シリーズも展示
「憧想生命」では、そうした架空の生命体を表現した作品のほか、麟太郎氏の代表的作品のひとつである「黄金の茶室」シリーズも展示。
同シリーズは、中身が空洞となった網目状のグルーガンに漆と純金を用いた高級感のある装飾を施すことで、物体の形状が持つ価値と中身の空虚さを対比させている。
また、立体作品を制作する中から派生的に生まれた半立体的な平面作品の数々も同展で初公開される。それらは脳や心臓といった生命の根幹を成す臓器の形状に着目した同氏が、普段見ることのできない臓器の神秘的なシルエットと、それら臓器の重要性を軽視する人々の空虚な内面を対比させた作品群だ。
なお同展は日本の芸術文化を見つめ直し、その魅力を世界へ発信するバイリンガル美術情報誌『ONBEAT』が、YUGEN Galleryでキュレーションを行う展覧会の第十一弾として開催される。
麟太郎氏のグルーガンアートの世界を堪能してみては。
個展「憧想生命」
会期:11月26日(土)~12月1日(木)
会場:YUGEN Gallery
所在地:東京都渋谷区渋谷2-12-19 東建インターナショナルビル3F
開館時間:月~金 14:00~19:00、土・日・祝 13:00~19:00
※最終日のみ17:00終了
休館日 :なし
作家在廊日:11月26日(土)、27日(日)、30日(水)、12月1日(木)
入館料 :無料
(IKKI)