台東区・今戸で開催、アートファンを魅了する新木友行氏と寺尾勝広氏の「TWO IRON MAN -鉄人の二人展-」

芸術性が異なる新木友行氏と寺尾勝広氏が出会い、何が生まれるのか自分の目で確かめよう。

アートプロジェクト集団「WATOWA GALLERY(ワトワギャラリー)」が、新木氏と寺尾氏による「TWO IRON MAN -鉄人の二人展-」を、10月8日(土)から東京・台東区にある「WATOWA GALLERY / THE BOX TOKYO」で開催する。

新木友行氏×寺尾勝広氏「TWO IRON MAN -鉄人の二人展-」

今回展示を行う新木氏と寺尾氏だが、両者の芸術性は異なるものだ。

新木氏はアスリートたちを描く。「ぶつかり合う瞬間を見たときの気持ちを言葉ではなく作品にしたい」という彼は、アスリートたちをデフォルメし動きを丁寧に捉える。濃密な色彩とコミカルさ、そして躍動感はバイタリティとエネルギッシュさにあふれている。

新木友行

新木友行氏

一方で、寺尾氏は鉄工所で溶接工として働いていたことを背景に、「図面」と呼ばれるドローイングを生み出す。彼の作品である鉄骨図面は重厚さだけでなく、緻密で焦点を持たず、繊細さをも兼ね備える。

寺尾勝広

寺尾勝広氏

二人に共通するものと言えば、新木氏であればアスリート、寺尾氏であれば鉄といったモチーフを固定化し、それだけを追求するという制作の姿勢を貫いていることだ。

情熱を燃やし続ける二人の世界観

新木氏と寺尾氏の作品は、ときに「美術」としての言葉では語られないことがある。それは彼らに障がいがあることに関係するだろう。

20世紀初頭ヨーロッパで見出された「アール・ブリュット」は伝統的な美術作品以外のものを指す言葉だったが、今日の日本では「障がいのある人のアート」という誤った認識が広まっている。

原義からかけ離れた名称でカテゴライズされるが故に、障がいのある人が生み出す作品は「美術」としての視点で語られにくいことがある。作品の内実ではなく、作家自身の特性でジャンル分けされる現象はなぜおこるのか。問題は表現者ではなく、表現されたものをどう扱うかという社会の意識にあることは言うまでもない。

一方で、新木氏と寺尾氏は、これまで「現代アート」の舞台で活躍し、多くのアートファンを魅了し続けてきた。同展は、現代アートとして評価を受ける新木氏と寺尾氏の作品を通じて、表現に対する社会の対応に疑問を投げかけるものである。

新木のデフォルメするスキルや色彩のバランス、寺尾氏の幾何学的図形がひしめく図面たち。彼らの独自性はその表現の中にこそ存在する。変わらぬものに情熱を燃やし続ける二人の鉄人の世界観を堪能してほしい。

TWO IRON MAN -鉄人の二人展-
期間:10月8日(土)~16日(日)12時〜19時
会場:WATOWA GALLERY / THE BOX TOKYO
所在地:東京都台東区今戸1丁目2-10 3F
料金:500円(税込)〜 ※自身で金額を決定するドネーションシステム
WATOWA GALLERY公式WEBサイト:http://watowagallery.com

(IKKI)