スラム街の廃棄物から作品を生み出すアーティスト・長坂真護氏に注目

先進国が投棄した廃棄物を使用して作品をつくる、今注目のアーティスト・長坂真護氏のアートブックが販売中だ。また、9月10日(土)~11月6日(日)の期間、東京「上野の森美術館」にて、初となる美術館での個展「長坂真護展 Still A“BLACK”STAR」を開催する。

長坂氏はガーナのスラム街にリサイクル工場をつくり、公害ゼロのサステイナブルタウンへ変えたい、という大きな目標を持っている。

©MAGO CREATION/小学館

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単身渡ったガーナで目の当たりにした資本主義の真実

長坂氏は2009年、自身の会社が倒産し、路上の絵描きとなった。その後、2017年に世界の電子機器の墓場と呼ばれるガーナのスラム街・アグボグブロシーを単身訪問。そこで、わずか500円の日当で大量の電子ゴミを燃やしながら必死に生きる人々と出会った。

目の当たりにしたのは大量のガスを吸い癌になり、命を落とす若者の姿。「彼らの命を犠牲にしてまで、富を形成することがそんなに大事なことなのか?アートの力でこの真実を伝えたい」と誓った長坂氏は帰国後、その電子ゴミを使ってスラム街で暮らす人々をモチーフにしたアートを制作。

その売上の多くを、彼らのためのガスマスク購入費用や学校の設立資金などに投じている。

「Ghana’s son」(2018)©MAGO CREATION/小学館

「Ghana’s son」(2018)©MAGO CREATION/小学館

©MAGO CREATION/小学館

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長坂氏の魅力と生き様が詰まったアートブックが完成

「サステナブル・キャピタリズム」を掲げ、アートの売上でスラムに教育、文化、経済を還元する長坂氏の活動を、今回、多くの作品と思いが詰まった言葉で一冊にまとめた。

2018年に設立された、スラム初の学校「MAGO ART AND STUDY」では、子供たちに英語、算数、アート、社会、環境問題を教えている。

©MAGO CREATION/小学館

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同書は“長坂真護”という唯一無二のアーティストの生き様、そして長坂氏が生み出す斬新なアートの世界観が詰まっており、これからのアートがはたす役割についても考えさせられる一冊だ。

「The Muntaka sculpture」(2021)©MAGO CREATION/小学館

「The Muntaka sculpture」(2021)©MAGO CREATION/小学館

「Ghana」(2021)©MAGO CREATION/小学館

「Ghana」(2021)©MAGO CREATION/小学館

東京・上野にて「長坂真護展 Still A“BLACK”STAR」を開催

さらに、9月10日(土)~11月6日(日)の期間、「上野の森美術館」にて「長坂真護展 Still A“BLACK”STAR」を開催する。同会場でも、アートブックを販売予定だ。

長坂氏の目標は、2030年までに100億円以上集めて、現地に最先端のリサイクル工場を建設すること。そして、世界最悪のスラム街を公害ゼロのサステイナブルタウンへと変貌させること。長坂氏の作品を見て、一人でも多くの人に、その活動や地球のことに関心をもってもらいたい。

©MAGO CREATION/小学館

©MAGO CREATION/小学館

アートブックを手にすることや個展へ足を運ぶことは、大きな意味のある行動になるだろう。

長坂真護作品集「NAGASAKA MAGO ALL SELECTION」
価格:2,200円(税込)
判型:B20取・160ページ
発行:小学館
https://www.shogakukan.co.jp/books/09682416

長坂真護展 Still A“BLACK”STAR
会場:上野の森美術館
所在地:東京都台東区上野公園1-2
開催期間:9月10日(土)~11月6日(日)
特設サイト:https://www.mago-exhibit.jp/

(hachi)