海底の戦争遺産を収録。水中写真家・戸村裕行さんの写真集『続 蒼海の碑銘〜海に眠る戦争の記憶〜』が発売!

水中写真家・戸村裕行さんの写真集『続 蒼海の碑銘~海に眠る戦争の記憶~』が、イカロス出版より8月31日(水)に発売した。

戦後70年以上を経た今もなお、海底に眠る戦闘艦艇・徴用船・日本軍機などの姿を紹介する。

海底に眠る艦船・航空機・潜水艦などを収録した写真集

1945年8月14日、太平洋戦争が終結した。それから77年が過ぎ、戦争の痕跡の多くが消えつつある。

しかし、戦争の舞台となった太平洋の海底には、戦闘で沈んだ艦船や撃墜された航空機が今も数多く眠っている。

その場所は、日本海軍の大根拠地だったトラック諸島(現チューク諸島)。激戦の舞台となったソロモン諸島。そして、現在は人気観光地として知られるグアム・パラオなど。日本国内でも、小笠原や沖縄に「戦争の記憶」が残る。

世界の海中をめぐり、様々な水中景観を撮影する水中写真家の戸村さん

世界の海中をめぐり、様々な水中景観を撮影する水中写真家の戸村さん

『続 蒼海の碑銘~海に眠る戦争の記憶~』は、戸村さんがライフワークとして取り組むレック(Wreck=沈んでいる艦船や航空機)を写真に収め、海底の戦争遺産として収録した写真集の第2弾だ。

壮絶な戦いの末、沈んでいった戦闘艦艇、悲劇的な最期を遂げた徴用船。零戦をはじめとする日本軍機などが、太平洋の海底で静かに眠る姿を紹介する。

激烈な航空戦で撃墜された航空機

太平洋上では、その覇権を競い激烈な航空戦が展開された。同写真集では、日本軍機だけではなく、米軍機も収録する。

日本軍機は、海軍の主力機・零式艦上戦闘機五二型乙(ギゾ島・ソロモン諸島)、真珠湾攻撃の際の主力機・九九式艦上爆撃機(グアム)・二式飛行艇(ミクロネシア連邦・チューク州/サイパン)など。

米軍機は、零戦のライバル・F6F ヘルキャット(ギゾ島・ソロモン諸島)、偵察爆撃機・SBD ドーントレス(レンドバ島・ソロモン諸島)などを収録。

熾烈な戦いを演じた戦闘艦艇

戦闘を目的として太平洋に投入された日本軍の戦闘艦艇の多くは、圧倒的な連合軍航空勢力と熾烈な戦いを演じた末に最期を迎えた。

同写真集で紹介するのは、駆逐艦「薄」(ミクロネシア連邦・チューク州)や「長月」(コロンバンガラ島・ソロモン諸島)、大型の巡洋潜水艦・伊号第一潜水艦(ガダルカナル島・ソロモン諸島)など。

沖縄戦の日本軍特攻で沈んだアメリカ海軍・掃海駆逐艦エモンズ(沖縄県・古宇利島)も収録する。

懸命に戦線を支えた補助艦艇・徴用船

補助艦艇・徴用船は、民間の船舶を徴用し、海軍所属にした船舶。大きな武力を持つことなく、懸命に戦線を支え、悲劇的な最期を遂げたものが多い。

物資や兵員の輸送にあたった貨物船「菊川丸」「山鬼山丸」「松丹丸」(ミクロネシア連邦・チューク州)、タンカーの油槽船「富士山丸」(ミクロネシア連邦・チューク州)などが収録される。

2020年に戸村さんが上梓した『蒼海の碑銘』は、沈船ダイビングの認知に大きな役割を果たした。そして、水中戦跡から見る平和教育や、戦争を後世に伝えていく活動が注目を集めた。

戦争の勃発により、世界中が昏迷を極める今、同写真集が「平和」への布石になることを願ってやまない。

続 蒼海の碑銘~海に眠る戦争の記憶~
定価:3,150円(税込)
サイズ:A4判
ページ数:152ページ
ISBNコード:978-4-8022-1193-2
戸村裕行さん公式サイト:https://www.hiroyuki-tomura.com/

(高野晃彰)