1955年創業の泡盛の酒造所・八重泉酒造は、泡盛・古酒(クース)ブランド「ZAKIMI(ザキミ)」をリリース、8月8日(月)から数量限定で販売開始した。
8年、10年、30年と熟成させた、希少な3種類の古酒に注目してみよう。
南国の風土で醸され、眠り続けた3種類の酒
「ZAKIMI」は、それぞれ8年、10年、30年と熟成させた泡盛・古酒のシリーズ。
同酒造は蒸留したての泡盛を新酒として出すのではなく、長い年月をかけ、石垣島という南国の環境で貯蔵し、熟成させる泡盛づくりに取り組んできた。長期熟成させることで蒸留時の荒々しさが取れ、甘みと香味が備わったまろやかな酒へと変わっていく。つまり、古酒は土地の自然と経過した時間の産物だ。
同シリーズは全て度数が43度で、内容量は700mlとなっている。それぞれの特徴を紹介しよう。
泡盛の豊潤さを伝える「ゆく」
8年ものの古酒は泡盛の豊潤さを伝える勢いのある酒、新たな泡盛の世界を切り拓いていく気概を込めて「ゆく」と命名。
ウイスキーも泡盛も、蒸留酒には熟成の時間が不可欠だ。角が取れ、風格を増した酒が、新たな泡盛のブランドとして立ち上がっていく。
古酒のブレンド「顔」
「顔」は10年熟成の古酒と、オーク樽に10年貯蔵した古酒のブレンド。
オークの色と香りが移った琥珀色の古酒が円熟の古酒と融合することで、ほんのりと淡い琥珀色の酒になる。どっしりとした瓶とラベルに配された書によって、斬新な泡盛の「顔」を生み出している。
古酒中の古酒「台風」
30年熟成の古酒は「台風」と命名。30年の歳月の中で、おそらくは100を超える台風が八重山諸島を通過していったことだろう。
こうした南国の自然に抱かれて眠り続けることで、はじめて到達できる枯淡の味わいとまろやかさがある。優雅な香気が身体の奥に沁み渡る至高の泡盛だ。仕上げの割り水として、その年に石垣島に到来した「台風の雨水」を浄化して用いており、まさに台風に眠り、台風で目覚めた古酒中の古酒。
「台風」のみ、10月の発売を予定している。
台風と石垣島の環境が作るお酒
黒麹菌による甘み
泡盛は沖縄地方特有の黒麹菌の作用によって長く寝かせることで刺激香が消え、ほんのりとした甘味へと変わっていく。
ウイスキーやブランデーとは異なり、蒸留後も時とともに甘味が備わっていくのは、この特殊な黒麹の作用であると言われている。
ラベルの書、無垢の木箱、台風のビンテージ
「ZAKIMI」のシリーズのラベルには、気鋭の書家・鎌村和貴氏による書を大きく配し、石垣島の自然の勢いを体現している。
また、「顔」と「台風」を収める箱は無垢の木をくり抜いた作り。歳月を経た古酒を内蔵する木の塊から酒瓶を取り出す時の胸の高鳴り、封緘紙を切るひそやかな儀式性など、特別な酒を飲むときの過程をデザインに織り込んでいる。
「台風」のネックラベルには、台風の到来年度と号数が記され、台風のビンテージがここに刻まれていく。
通常の泡盛とは異なり、世界の銘酒に勝るとも劣らない至高のスピリッツとして、これまでにない姿となった“新しい泡盛”のデビューに期待したい。
ZAKIMI 特設サイト:https://zakimi.yaesen.com/
(田原昌)
※表示価格は全て税込