島根県の秘湯・有福温泉に誕生した1日5組限定のホテル。手仕事の温もりを感じる優しい空間

島根県のものづくり会社が手掛ける「Showcase Hotel KASANE(ショーケースホテル かさね)」が、7月30日(土)に開業した。

人口80人のまち・有福温泉で挑戦する、1日5組限定の新しいコンセプトホテルだ。

有福温泉の再生をかけたプロジェクト

島根の山奥にある秘湯、有福温泉。約50年前に建てられた古い旅館の経年変化に手仕事が重なり、あるがままの美しい空間が生まれた。訪れる人の心を豊かにし、新しい暮らしの引き出しが見つかるよう想いを込めている。

同ホテルの設計デザイン・運営を行うのは、島根県江津(ごうつ)市にある、ものづくりの会社「SUKIMONO(数奇者)」。昨今、製造業の流れは大量生産・大量消費の見直しがようやく進んできているが、同社は早くから時代に流されることなく、その地域でできることを追求し、地域に幸福の循環を生み出すことを目的に事業を展開してきた。

今回のホテルの運営は、人口たった80人しかいない、消滅寸前の温泉街の再生をかけた一大プロジェクトだ。

「有福温泉」再開発の経緯

有福温泉は、昭和から平成にかけ豪雨による浸水被害を数回受けるなどして、もとは20軒以上あった宿が3軒に減ってしまった。

そこで令和に入る頃、江津市が街をあげての再開発を目指し、同ホテルもその事業の一端を担う。

有福温泉の歴史

有福温泉は今から1370年以上前、聖徳太子の時代にインドから来た法道仙人が見つけたとされ、“名湯が湧く福有の里”として古い歴史をもつ温泉街。

温泉は、無色透明な単純アルカリ泉。美人の湯として親しまれ、ホテルから徒歩圏内に3つの外湯がある。

ホテルで体験できる、心を豊かにできる時間

「Showcase Hotel KASANE」は、“てしごとの、そばで。”をコンセプトに、ホテルの造りや在り方までも新創造して生まれた新コンセプトのホテルだ。

職人たちによる手仕事

玄関の扉をあけ一歩中へ入ると、館内の隅々に職人たちが手掛けた家具や襖、暖簾、インテリアプロダクトなどが空間を彩り、手仕事の温もりを身近に感じることができる。

建物は、築50年ほどの旧わたずや旅館をリノベーション。既存の価値を大切にしたモノづくりは、“もったいない”に目を向けることで生まれた。

今では手に入れることのできない材料、経年変化で生まれた姿、かつての職人たちの技や知恵。それらをすべて融合し、これから先、50年後、100年後にも価値を持ち続けるような空間づくりを目指した。

不要なものをそぎ落とし、原点に返る

ゲストが同ホテルで体験できること。それは、多くの宿泊施設のものとは異なるだろう。一見すると不便さが際立つような感覚があるかもしれない。

しかし、宿に向かう途中に出会う雄大な日本海や山里の四季折々に移り変わる景色は、日本の原風景を感じさせる。次第に心がほぐれ、自らも原点に返っていくような感覚の中、不要なものをそぎ落としていった先に待つのは、有福温泉にできた客室5室の小さな宿だ。

ゆっくり流れる時間や、有福温泉の風景。今までにない、心を豊かにする体験をしてみよう。

Showcase Hotel KASANE
所在地:島根県江津市有福温泉町697
公式サイト:https://showcasehotel-kasane.jp/
予約サイト:
楽天 https://travel.rakuten.co.jp/HOTEL/184206/184206.html
じゃらん https://www.jalan.net/yad397390/

(田原昌)