私たちはどうすれば「異なる人々」とつながることができるのか?
ランナー/ジャーナリスト/アーティストのリッキー・ゲイツ氏による稀代のドキュメンタリー『アメリカを巡る旅 3,700マイルを走って見つけた、僕たちのこと。』が、7月13日(水)に木星社から発売された。同書はランニングカルチャーを発信するショップや、木星社のストアなどで購入できる。
「私たち」あるいは「人間」とは何かを追究する著者
著者のリッキー・ゲイツ氏は、プロアスリート/トレイルランナーとして活動しながら、近年は、自然や都市に加え、人間が作り出した構造物、グラフィティ、タギング、ポスターなどさまざまな痕跡を記録し、「私たち」あるいは「人間」とは何かを解き明かすためのプロジェクトを続けているアーティスト/ジャーナリスト。
2018年には、サンフランシスコの街にあるすべての道(合計約1,127マイル)を走り、出会った人々や道中の出来事を写真やドキュメンタリー映像、スタッツを活用したビジュアルに残した「Every Single Street」プロジェクトに取り組んだ。
今作では、ランニングとジャーナリズムを融合し、人々や自然、街に自身が深く入り込んでストーリーを構築する「ゴンゾ・ジャーナリズム」のスタイルで物語を綴り、現代アメリカとそこに住む人々についての貴重なドキュメントを残した。
気鋭のライター・編集者・翻訳家による邦訳
サンフランシスコのクロニクル・ブックス社が2020年に米国で刊行したこの一大ドキュメンタリーを訳したのは、『VOGUE』や『WIRED』などで活躍する新進気鋭のライター・編集者翻訳家、川鍋明日香氏だ。
国内外で活躍する川鍋氏の、ジャーナリストとしての豊かな見識が活かされた翻訳は、原書の英語の印象を残しつつ、遠い国の物語ではなく、私たちにとっても親密に感じられる日本語の訳文になっている。
街や広大な自然、貧富の差、思想・人種・信条・言葉の違い、分断されたアメリカの様子、ビールとホットチョコレートと、チーバ・チューズとポップ・タルト、フライドチキンとミートローフの味、恋人とのあいだに幾重にも重なる複雑な想い、トレイルや運河、砂漠、ロード、都市の様子、誰かとの軋轢や大統領選挙、交わされた会話の数々……、それらをきめ細かく紡いだ日本語は、まさに今を映し出す。
私たちの心に響く言葉を探しだそう
2020年に米国で刊行された同書は、「分断された」アメリカに住む「人々」に出会いなおし、「新しい自分たち」を見出していくという希望にあふれる物語だ。
「僕は」という一人称が、旅の道中に出会うたくさんの「人々」の物語へと変化し、それはいつしか「僕たち」という複数形の意味合いを帯びるようになる。
200枚以上の写真と抑制の効いた独特のナラティブで綴られる物語は、国や時間を超え「私たち自身」が自らのありようを見出そうとする思考へとつながり、私たちがこれからを進む励みになる力を持ちはじめる。
初邦訳に際するインタビューシリーズで、ゲイツ氏は、自然や都市において「Human(人間)」であることや「Empathy(深い共感)」という言葉を何度も口にした。
現代の人間にとってこういったことがどんな力を持つものなのか、同書でぜひ体感したい。
アメリカを巡る旅 3,700マイルを走って見つけた、僕たちのこと。
価格:4300円(税抜)
Amazon販売ページ:https://www.amazon.co.jp/dp/4910567038/
Paramount オンラインショップ:https://paramount.theshop.jp/
Monkey Crew 公式Webサイト:https://monkey-crew.com/
木星社 オンラインストア:https://mokusei222.stores.jp/
木星社 版元ドットコム:https://www.hanmoto.com/bd/mokuseipublishers
ゲイツ氏インタビュー:https://www.instagram.com/tv/CeufSevF3QR/?utm_source=ig_web_copy_link
(MK)